未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
296

埼玉県さいたま市

2025年4月29日、埼玉の大宮にオープンした映画館「OttO(オット)」。カフェとシェアハウスが一体化した日本で唯一の映画館は、支配人の「公民館の拡大版みたいな、開かれた場所にしたい」という思いから生まれた。

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.296 |13 January 2026
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埼玉県さいたま市

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#1日本で唯一の映画館

映画の上映後、忘年会で賑わっていたOttO。

12月某日の夜、埼玉の大宮にある映画館「OttO(オット)」で映画『わたのはらぞこ』を観た後、ロビーに出ると大勢の人で賑わっていた。併設のカフェで忘年会が開かれているという。映画館で忘年会!? と驚く僕に、OttOの支配人、今井健太さんはほほ笑む。

「地元の金融機関の方たちです。最近は、忘年会っていうと若い世代は『業務ですか?』という雰囲気みたいで。昔みたいに居酒屋でお酒を飲むのとは違うことがしたいということで、うちで映画を観た後にご飯を食べるという形で予約してくれました」

1月には中小企業診断士のグループ40人が、今井さんとのトークセッション、映画鑑賞をセットにした新年会を予定しているそう。

忘年会、新年会が開かれるなんとも珍しい映画館OttOには、日々いろいろな人が立ち寄る。たまに見かける近所の女子高生は、自分が来たタイミングで観やすい映画のチケットを買う。ある夫婦は、5枚つづりの回数券を1日で使い切った。

「人がいっぱいいる空間で映画を観れないんです」と連絡してきた人は、防音鑑賞室で映画を観て、「すごくありがたかったです」と言い残して帰っていった。赤ちゃんを抱っこしたお母さんもふらりとやってきて、防音鑑賞室を利用した。

劇場の防音鑑賞室。予約が入っていなければ、当日利用も可能。

「公民館の拡大版みたいな、開かれた場所にしたい」と映画館を作った今井さんにとって、それは嬉しい光景だ。

OttOは、シェアハウスも併設している。5階建てのビルの1階がカフェで、2階に映画館があり、3階から5階に全25室。住民は月に4回、無料で映画を観ることができる特典付きの「住める映画館」だ。

カフェとシェアハウスが一体化した日本で唯一の映画館OttOがオープンしたのは、2025年4月。映画業界の門外漢だった今井さんだから生まれた施設ともいえる。

駅から徒歩で5分弱の住宅街に建つOttO。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。