
埼玉県さいたま市
私がよく足を運ぶ散歩コースに、「こういう店を求めてたんだ!」と言いたくなるハンバーガーショップができた。4時間で500食を販売したという人気店で、味、ボリューム、価格、店内の雰囲気、どれをとっても申し分ない。この価格でこのクオリティをどう実現しているのだろう? 気になった私は、直接話を聞かせてもらうべく店に向かった。
最寄りのICから【S2】首都高速埼玉新都心線「新都心西IC」を下車
最寄りのICから【S2】首都高速埼玉新都心線「新都心西IC」を下車
2025年12月31日、23時45分。しびれる寒さのなか、マフラーをぐるぐる巻きにして、私は行列に並んでいた。そう、肉厚ジューシーなハンバーガーを求めて。
武蔵一宮氷川神社への初詣、という名目で夫を誘ったもののそれは後付けで、私の本当の目当ては参道沿いにある「BURGER TERRACE」だった。
約2キロに渡り、日本一長いと言われる氷川参道沿いには、珈琲店やピザ店、団子店、カフェなど多くの飲食店が軒を連ねる。約650本の樹木が立ち並び、夏は涼しく、歩いているだけでも気分が上を向くので大好きな散歩道でもある。
そこに2025年12月10日、新しくオープンしたのがBURGER TERRACEだ。
私が初めて足を運んだのは2025年11月下旬、プレオープン時だった。氷川参道沿いを散歩していると濃厚な肉の香りが漂ってきて、吸い込まれるように入店した。
広々としていて、おしゃれで、ファミリーレストランのようにゆったりとできる店内には、小さな子どもから高齢者まで多くの人で席が埋まっており、いい意味でハンバーガーショップらしからぬ雰囲気だ。
ハンバーガーは、手のひらにずっしりと重みを感じるほどのボリューム。かぶりつくと、ジューシーなパティの肉々しさが口いっぱいに広がる。トマト、レタス、オニオンなどの野菜がたっぷりと重なり、自家製ピクルスの酸味がアクセントとなって、飽きのこない絶妙なバランス。もっちりとしたバンズが、それらすべてをやさしく包み込んでいる。
付け合わせのポテトは、揚げずにオーブンでじっくり焼き上げたもの。外はほんのり香ばしく、中はホクホクだ。油を使わない分だけ軽やかで、食べ終えたあとも胃がもたれない。
何より驚いたのが、価格だ。和牛ハンバーガー、ポテト、ドリンクのセットで税込1,330円(2026年2月現在)。私が知る限り、グルメバーガー店のなかでは破格に安い。夫と顔を見合わせ「これはリピートだね」と誓い合い、3週間後の大晦日にさっそく実現したのだった。
それにしても、このクオリティでこの価格……どうなってるんだ? 気になって店のことを調べてみると、素材と手作りにこだわりを持っていることがわかった。
自家製バンズは、全国のグルメバーガー店にバンズを卸し「バンズの神様」と呼ばれる東新宿「峰屋」の高橋康弘さんから直接技術指導を受け、店内で作っているという。素材には、栽培の難しさから希少性が高いと言われる国産小麦「はるゆたか」を使用。小麦には品質を表す等級があるのだが、同店が使うのは「特等」と呼ばれる最高品質のものだ。
また、パティは和牛100パーセントで、つなぎは使用しない。冷凍もせず、注文ごとに肉を鉄板に押し付けてカリっと焼き上げるスマッシュ製法を用いている。
そして、特筆すべきはここが「就労継続支援A型事業所」だということ。障がいのある人が一般就労を目指しながら働く場所だ。
なぜ就労継続支援A型事業所でハンバーガーを? この価格はどうやって実現しているの? 聞いてみたいことが次々と浮かんできてしまい、取材を申し込まずにはいられなかった。