未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
302

北海道の森から始まる甘いチャレンジ メープルシロップの伝道師が抱く夢

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.302 |10 April 2026
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#4メープルシロップはワインと同じ

もともとカナダでオフィスワークをしていたギャニオンさんが日本に移住したきかっけは、2004年に旅先のタイで札幌出身の和香(わこう)さんと出会ったから。翌年に結婚したのを機に、北海道で暮らし始めた。

「私、5歳から柔道をしていました。12歳から3年間、お父さんの仕事でドイツに住んでいて、その時に空手も始めました。武道が好きで、ずっと日本に行きたいと思っていたんです。ケベックと北海道、気候がすごく似ていて住みやすいです。四季があるし、小さな山もいっぱいある。日本のご飯も大好きで、なんでも食べます。北海道のホッケが好き」

北海道での新生活には、すぐに馴染んだ。しかし、まだ日本語を話せなかったギャニオンさんには仕事がなく、最初はニセコでカナダの会社から建築関係の仕事を請け負っていた。故郷の札幌に住む和香さんと、いきなりの別居生活。しかも、当時からニセコは外国人が多く、「せっかく日本に来たのに」という残念な気持ちにもなり、その仕事を2年で辞めて、札幌の和香さんのもとへ戻った。

さて、札幌でなにをしよう? ギャニオンさんが北海道に住み始めてから印象的だったのは、知り合う日本人の多くが故郷の食べ物や飲み物を自慢していたことだ。

「バーに行ったら、『マーク、このお酒はここで作ったものだよ』、レストランに行っても、『マーク、このスペシャリテ(看板料理)はここで取れたものだよ』と言います」

それなら私も! と目を付けたのが、故郷の名産品メープルシロップ。僕の感覚では、メープルシロップ=カナダ産だったが、ギャニオンさんに言わせると「場所、木、メーカーが違えば味も違う。ワインと同じ」。そこで、2007年に札幌市内で自分の名前を冠したお店「GAGNON(ギャニオン)」を開き、カナダから「本当においしいメープルシロップだけ」を輸入して専門店を始めた。

日本に唯一のメープルシロップ専門店「GAGNON(ギャニオン)」。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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