当別町には「スウェーデンヒルズ」という名の森に囲まれた住宅地がある。最初はそこの近くの森で立派なカエデを見つけたものの、やはり数が少なかった。そこでグーグルマップを開いたところ、小さな山を挟んで反対側にも森が広がっていることがわかった。
飼い犬のサップ(英語で樹液という意味)と雑草が胸の高さまで生えている森に足を踏み入れたギャニオンさんは、目を見張った。
「ビックリしました! この森は多分、50年以上、誰も来てない。自然に大きくなったカエデがいっぱいありました」
2022年、ギャニオンさんは14ヘクタールの森を借りた。ついに「マイプレイス」を見つけたのだ。すぐに生い茂る雑草を刈り、枯れた樹を切り倒して、森を整備した。同時進行で森に近い道路沿いにあった小屋風の建物を借りて、シュガーハウスに改装。「北海道メープルハウス」と名付けた。
そこに、カナダからおよそ300万円かけて輸入した「エバポレーター」というカエデの樹液を煮詰める機械を設置する。カナダから専門の技術者を呼んで組み立てたそうだ。
カエデから樹液を採取できるのは、冬から春に移り変わる時期の4週間から6週間しかない。その仕組みはこうだ。
カエデは厳しい冬に備えて、春から秋の間にでんぷんをため込む。そして冬に入ると、樹木に蓄えている水分が凍結して細胞が壊れるのを防ぐため、でんぷんを糖に変える。水は通常0度で凍るが、糖分が混じることで0度よりさらに凝固点が低くなるのだ。
そして雪解けの時期になると、蓄えた糖分が根っこから吸い上げた水に溶けだす。これが春先にしか取れない「メープルウォーター」と言われる甘みのある水で、幹に穴を開けてこの樹液を採取するのだ。