メープルシロップの専門店は、日本にひとつしかない。珍しさに味の良さも加わり、道内の大手メーカーとコラボしたり、大手百貨店とメープルフェアを開催したりするなど、少しずつ販路を広げてきた。


ギャニオンさんは、毎年のように故郷のケベック州に買い付けに向かう。ケベック州にはメープルシロップについて学ぶための学校があり、そこでさまざまな技術開発が行われていて、生産者はそこで最先端の知識と技術を身につけるそうだ。買い付けの際、生産者から話を聞いて、最新のメープルシロップ作りを学んだ。
メープルシロップに精通したギャニオンさんは次第に伝道師として注目されるようになり、2014年より、カエデが多く自生する北海道の占冠村で地域資源活用のコンサルティングやメープル収穫ツアーのガイドを務めるようになる。2016年には、ギャニオンさんの指導のもとで占冠村発のメープルシロップが完成。その後、函館にほど近い七飯町でもメープルシロップ作りをサポートした。
「私、ぜんぶ教えました。とても楽しかった! でも、メープルシロップができたら、プロジェクトは終わりです。もっと、森に行きたい。マイプレイスが欲しくなりました」
北海道にはカエデが自生している森が多い。しかし、樹齢30年未満の樹は樹液を採取すると枯れてしまう恐れがある。樹齢30年以上のカエデはだいたい幹の太さが直径25センチ超になるため、それが判断基準だ。
樹齢30年を超えるカエデがあったとしても、大半がまばらでメープルシロップを作るには足りない。どこかいい森はないかと探し始めたギャニオンさんは、妻の和香さんとドライブをしている時にも気になる森が目に入ると車を止めて見に行った。そうして出会ったのが、当別町の森だった。