ペンギンヒルズは、動物園や水族館による動物たちの飼育環境を豊かにするための取り組みを表彰する「エンリッチメント大賞」を受賞するなど国内外で評価を高めた。ちなみに、埼玉県こども動物自然公園はペンギンヒルズも含めてこれまでに計4回、「エンリッチメント大賞」を受賞している。これは、受賞回数5回で最多の北海道旭山動物園に次いで、全国2位。あまり知られていないが、動物の飼育環境は日本でも屈指のレベルにある。
その評判は、フンボルトペンギンの故郷であるチリにも届いていたのだろう。小山さんたち一行がチリに視察に行ったのを機に交流するようになったチリの国立サンチアゴ・メトロポリタン公園から、昨夏、希少動物の保存と友好を深めるためにプーズーが寄贈されたのである。希少動物を贈る、ということは、それだけ飼育技術や飼育環境が信頼されているということの表れだ。
そして、日本に初めてやってきたプーズーの担当になったのが、小山さん。「ペンギンと生息地が近かったからかな」と笑うが、ペンギンヒルズでの工夫や動物たちへの気遣いが評価されたのだろうと僕は思う。小山さんは、ペンギンヒルズの隣りに建てられたプーズーの飼育施設でも、日々、頭をひねっている。
「ここでも、チリの環境をできる限り再現しています。生態は普通の鹿とそれほど変わりませんが、南半球からきたので食べるものが少し違いますね。ここは周囲が山でいろいろな植物があるので、葉っぱを山で採ってきて、毎日新しくして食べさせています。プーズーはとうねずみもち(モクセイ科の常緑小高木)が大好きで、ヒサカキ(常緑小高木)もたくさん食べますね」

川内イオ