高速道路を利用するドライバーにとって、渋滞は誰もが直面する悩みのひとつ。交通集中をはじめ、事故や工事などさまざまな要因によって発生する渋滞は、なかなか避けることが難しいものです。
そこで今回は、渋滞を予測する「渋滞予報士」にインタビューを行い、渋滞にまつわるさまざまな疑問についてお答えいただきました。渋滞に巻き込まれにくくするための対策に加え、運転のコツや車内での過ごし方など、全ドライバー必見の内容です!
「NEXCO東日本 関東支社 渋滞予報士」にお話を伺いました

今回は「NEXCO東日本 関東支社 道路管制センター」に伺い、関東エリアを担当されている渋滞予報士の上野さんにお話を伺いました。
上野 渉さん
NEXCO東日本 関東支社 管理事業部 道路管制センター・交通技術課
入社6年目。入社後はトンネル建設工事や舗装工事などの現場で経験を積み、2025年4月に関東支社交通技術課へ異動。同年5月から関東支社十代目予報士として活動する。
渋滞を減らすため、365日予測を実施!「渋滞予報士」の仕事とは

──はじめに、渋滞予報士のお仕事の内容と役割を教えてください。
渋滞予報士は、いつ、どこで、どのくらい渋滞が発生するのかを予測し、1分・1キロでも渋滞を短くすることを使命に活動しています。主な仕事内容は、渋滞の予測、渋滞対策の立案、そして予測の結果や対策の内容をドライバーの皆さまに伝える広報の3つです。
NEXCO東日本では、北海道・東北・新潟・関東の各支社に1名ずつ、計4名の渋滞予報士がいて、それぞれの地域に詳しいプロとして渋滞予測情報を発信しています。渋滞予測はゴールデンウィークやお盆などの大型連休などに行うイメージがあるかと思いますが、実は365日実施しています。渋滞予測は早い段階から準備し始め、旅行やお出かけの計画に役立てていただけるよう、約半年前を目安に公開しています。
──渋滞予測はどのように行いますか?
渋滞発生には規則性があり、主に過去3年分の実績を参考にします。渋滞の距離と時間をグラフ化し、過去の傾向をなぞるように比較して、まずは概ね60点の精度の予測を作成します。その後、新しい道路の開通や高速道路周辺で行われる大規模なイベントなど、さまざまな要因や影響を考慮します。交通技術課のチーム内で議論を重ね、予測に味付けを加えていくような形で調整していき、100点の予測に仕上げています。
渋滞予報士は特別な資格などは必要ありませんが、渋滞の現象を分析・解明するために土木工学や交通工学といった知識があると、役立ちます。

──過去の実績データはどのような点を重視して選びますか?
特に曜日配列を重視しています。ゴールデンウィークなどの大型連休では、曜日の並びによって人々の移動傾向が大きく変わるためです。
また、渋滞の傾向は道路や地域の特性も影響します。例えば外環道と圏央道は運送会社等の業務交通量が多いため平日に渋滞が発生しやすく、一方で関越道は休日にお出かけで利用される方が多いため、週末に渋滞しやすいです。
──渋滞予測の的中率について教えてください。
予測は100%的中させることを目指しておらず、あくまでドライバーの皆さまに渋滞を避けてもらうことを目的にしています。実際の予測は難しいところがあり、予測を見た方が混んでいる時間や道路を避けて渋滞が減れば、予測としての的中率は下がりますが、渋滞予報士としてはある意味「狙い通り」です。ただ、予測が外れすぎてしまうと信用が下がって誰にも予測を見ていただけなくなってしまうので、そこそこの的中率はないといけないというジレンマを抱えています。
渋滞はなぜ起こる?意外と知られていない要因と対策をプロが解説!

──渋滞が起こる原因はどのようなものがありますか?
渋滞の発生原因の約7割は、交通集中によるものです。道路には一定の交通容量があり、交通量がそれを超えると渋滞が発生します。交通容量をコップに例えると、交通量という水が注がれ、満杯を超えた分があふれて渋滞が起きるというイメージですね。
他にも、事故や工事などで車線規制が行われていると、車線が減少することで渋滞が発生しやすくなり、解消にも時間がかかります。また交通集中の中で事故が発生するなど、複数の要因が重なることで、結果的に大規模な渋滞につながるケースもあります。
──渋滞の対策はどのような取り組みをされていますか?
渋滞の発生箇所をピックアップし、さまざまな原因を分析したうえで対策を検討します。もっともわかりやすい対策は車線を増やすことで、先ほどのコップと水の例で言うと、「コップを大きくする」ことで渋滞を緩和することができます。
交通集中による渋滞の約6割は「サグ」と呼ばれる区間で発生します。これは下り坂から上り坂へと勾配が変化する場所を指すものです。

渋滞を引き起こすサグは分度器の一目盛りにも満たないほどのわずかな勾配の変化です。気づかぬうちに車の速度が落ちてしまい、後ろの車がブレーキを踏み、ブレーキの波が後方に連鎖して渋滞が発生します。このようなサグには「渋滞ポイント標識」を設置して、速度低下の注意喚起を行う対策を行っています。
これらの渋滞対策は、道路会社の取り組みとお客さまの協力が掛け合わさることで初めて効果を発揮するという意味で、「お客さまとの掛け算」と言われています。道路会社としてもさまざまな対策やPRを行っていますので、こうした取り組みにぜひご協力いただきたいです。
──PR活動はどのようなことを行っていますか?
ゴールデンウィーク、お盆、年末年始に公開される特設サイトでは、渋滞予測の解説動画を配信しています。その年の渋滞の特徴や回避術といったポイント、「この日の移動は要注意」といった内容を約1分でわかりやすくお伝えしていますので、ぜひ気軽に確認いただけると嬉しいです。
【特設サイト(ゴールデンウィーク版)】
https://www.driveplaza.com/special/congest_prediction/

──渋滞を避けるためにできる対策は何がありますか?
NEXCO東日本の公式サイト「ドラぷら」では、365日渋滞情報を発信しています。まずは出発前にドラぷらで渋滞予測を見て、混雑している日付・時間を避けていただくことが最も有効です。
どうしても日付や時間をずらせない場合は、事前に複数のルートを検討しておくことが大切です。特に近年では高速情報網の発達により首都圏ではさまざまなルートがあるため、あらかじめ別ルートも検討していただくことで、目的地までスムーズにアクセスできます。
──「ドラぷら」の渋滞予測情報の見方と活用の仕方を教えてください。
ドラぷら内の道路交通情報のタブから見られる「ドラとら」というサイトでは、リアルタイムの交通情報と、渋滞や交通規制の予定をマップで確認できます。

上部の「渋滞予測」タブを押すと、日付や時間を指定できるカレンダーとサイドバーが表示されます。今回は、海の日の3連休初日である7月18日(土)午前10時の交通予測を検索してみましょう。すると、渋滞が予測される区間が赤く表示され、黄色いアイコンをクリックすると渋滞する時間帯や距離などの詳細情報が確認できます。

渋滞を避けたルートを選ぶ際は、ドラぷらの「高速料金・ルート検索」で出発前に複数のルートを検討していただくのがおすすめです。
ドラぷら 高速料金・ルート検索

出発・到着地点を検索すると3つのルートが候補に上がり、画面下に走行ルートがマップで表示されます。ルート2はルート1よりも遠回りのルートですが、渋滞考慮時間を見ると、どちらも約2時間となりほぼ変わりません。日によっては所要時間が逆転し、遠回りに見えるルートの方が早く到着できることがあるため、状況に応じてルート変更を検討することが大切です。
──当日の渋滞情報の確認方法、ルート選択のコツを教えてください。
当日に予測を見てルートを選んでいただく場合は、NEXCO東日本とNTTドコモが共同で行っている「AIルートジャッジ」というサービスがおすすめです。NTTドコモの携帯電話ネットワークを活用した人口統計データに基づき、当日お昼時点の人口から、帰宅時間帯の渋滞予測を確認できます。
AIルートジャッジ
こちらは東京湾アクアラインと京葉道路・館山道を対象とし、房総半島から東京・埼玉方面へ戻る際に、海側(アクアライン)と陸側(京葉道路・館山道)のどちらを使えば早く帰れるかをAIが判定します。私もよく活用していて、「何時に出発すれば、どちらのルートがどれくらい空いているか」をリアルタイムで判断できる、とても便利なサービスです。
出発前はドラぷらの渋滞予測を見て事前にルート計画を立てていただき、当日はこのAI予測で判断するというように使い分けていただくと、快適なドライブに繋がります。ウェブサイトから誰でも無料で利用できますので、房総エリアへお出かけされる際はぜひ活用してみてください。
──ドラぷらのサービスは、高速道路のルート選択を電車の乗り換え案内のように判断できるのが便利ですね。
そうですね。これからは「高速道路は乗り換える時代」になると思います。この言葉は歴代の渋滞予報士から受け継いだもので、「乗り換え」という表現は高速道路の利用をより身近にし、新しいルートを選ぶハードルを下げる点で、とてもよい表現だと感じました。
高速道路の「乗り換え」という考え方はまだ十分に浸透していませんが、「ドラぷら」を活用しながら、交通状況に応じて最適なルートを選んでいただきたいと思います。
もし渋滞にはまってしまったら?車内時間の過ごし方と安全運転のアドバイス

──渋滞にはまってしまったとき、ドライバーはどのような行動を心がけるべきですか?
むやみに車線変更をしないことが大切です。渋滞はアコーディオンのように波状的に動いていて、渋滞中は基本的にどの車線も進む速さに大きな差はありません。
実は、渋滞の中で10台ほど車を追い抜いたとしても、所要時間はたった30秒しか変わりません。車の隙間を縫ってリスクを負うことを考えると、あまり得はしないですね。せっかくのドライブが事故で台無しになってしまう可能性もあるので、無理な車線変更は避けていただくのがよいです。
また、渋滞中は前の車との車間時間を「2秒」確保するのがポイントです。NEXCO東日本では車間を時間で測ることを推奨していて、「2秒」は適切な車間を保つための目安として、とてもわかりやすく、誰でも実践できる方法です。
──上野さんも渋滞にはまることはありますか?
旅行で日程やルートが決まっていると渋滞を避けるのは難しいので、私自身も渋滞にはまることがありますが、予測のピークと異なる時間で渋滞に遭遇したことがあります。そのような時は、「予測を参考に時間を変えてくれた人が多かったんだな」とポジティブに捉えて、次回以降の予測に反映しようとしています。
──高速道路を運転中に渋滞を判断したり、渋滞を回避する方法を教えてください。
高速道路のインターチェンジ入口や本線上の情報板には、「○○→○○ 事故渋滞○km○分」といった交通情報が表示されますが、状況によって情報板の渋滞情報の横に赤い三角形が表示される場合があります。この表示は、渋滞が短時間で急速に伸びていることを示しています。目的地方面の渋滞情報にこのマークが表示されている場合は、ルートを変更したり、サービスエリアなどで休憩しながら、渋滞が落ち着くのを待つのがおすすめです。
──続いて、渋滞中の車内の過ごし方についてお伺いします。ハイウェイまっぷるでは、「渋滞を楽しむ方法やコツ」について読者アンケートを実施し、アンケート結果が公開されました。

──このなかで上野さんが実際にやったことがあるものや、共感した内容はありますか?
私はランキング1位の「ナンバープレートの数字で10を作る」という遊びが好きで、渋滞中によく楽しんでいます(笑)。渋滞中はなかなか前に進まず、ぼーっとしてしまいがちなので、意識的に頭を働かせるようにしています。
また、友人や家族とドライブに行く際は、次のSAに立ち寄って何を食べるかを相談することも多いですね。
──プライベートで渋滞にはまってしまったとき、車内時間の過ごし方で工夫していることはありますか? おすすめの疲労対策があれば教えてください。
最低でも2時間に1回は休憩を取ることが大切です。特に一人で運転している場合は眠気を感じやすくなってしまうので、音楽を流すなどして、漫然運転にならないよう工夫することが大切です。私は運転中にグミを食べることが多く、弾力や刺激で気分をリフレッシュしています。

──最後に、高速道路を走るドライバーに向けてメッセージをお願いします。
渋滞予測が365日行われていることは、まだあまり知られていません。大型連休だけでなく、週末のちょっとしたお出かけの際にも渋滞予測情報を見て、普段のドライブに役立てていただきたいです。
これからのお盆期間中ですと、帰省などで慣れない道路を運転する方もいらっしゃり、各地で渋滞や追突事故が発生しやすくなります。渋滞中は「自分は大丈夫」と思わず、常に運転に集中することが大切です。時間に余裕を持ち、早めに休憩を取るなどして、ゆとりある運転を心がけていただきたいです。
渋滞予測を上手に活用して、高速道路のドライブをもっと快適に!

渋滞予報士の方に、渋滞にまつわる知識を詳しくお話しいただきました。
事前に交通情報を確認し、ルートや出発時間を計画しておくなど、渋滞を避けるための対策はさまざま。一人ひとりの小さな意識や行動が、渋滞緩和につながる大きなきっかけとなります。
ドライブの際は、ドラぷらの渋滞予測情報を活用しながら時間に余裕を持った計画を立て、状況に応じてルートを柔軟に選ぶことが大切です。渋滞予測を上手に活用して、快適で安全なドライブを楽しみましょう!
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。