連載企画「私の推しSA・PA」第3回のゲストは、定期観光バスツアーや募集型企画旅行を運行するはとバスのバスガイドさん。東京をはじめ、東日本各地の観光地やSA・PAを巡るバスガイドならではの視点で、おすすめのSA・PAやお気に入りスポットをインタビューしました!
さらに、観光バスやバスガイドならではのお仕事の裏側など、普段はなかなか知ることのできないお話も必見!はとバスツアーの楽しみ方と、バスガイドの知られざる魅力に迫ります。
バスガイドさんプロフィール

鈴木 彩乃(すずき あやの)さん
はとバス 運輸部 ガイド課 ガイド
入社7年目。福島県猪苗代町出身。
工業高校時代、求人を見て「これだ!おもしろそう!」と思い、バスガイドの道へ。入社を機にインドア派からアウトドア派となり、現在はプライベートでも月に1回は旅行に出かけるほどの旅好きに。
観光バスツアー「はとバス」とは?バスガイドのお仕事に密着!

──はじめに、はとバスの事業内容と、はとバスガイドのお仕事について教えてください!
はとバスは東京都内を1時間から半日、1日で巡る定期観光バスツアーがあるのが特徴で、東京から関東郊外へ向かう日帰り・宿泊ツアーもあります。
1時間で都内を巡るオープンバスツアーでは、1日に昼と夜の2回参加される方もいます。東京駅丸の内南口のすぐ近くに乗り場があって、空席があれば当日でもご乗車いただけるので、観光の合間などに「ふらっとはとバスにも乗ってみようか」と気軽に乗ってくださる方が多いです。

バスガイドの仕事は、主にツアーで巡る観光地の車窓案内です。観光地への連絡やスケジュール管理、お客さまの誘導も行います。ほかには、安全確認の業務として「バックオーライ」と声をかけて運転士の安全確認をサポートするお手伝いもします。初めて運行するコースでは、内容をまとめた書類や報告書を作成することもありますが、基本的には運転士と一緒にお客さまをツアーにご案内するお仕事が中心です。
──はとバスの車両はさまざまな種類がありますが、それぞれどのような特徴がありますか?

最も数の多い一般車両と、2台ある旧型のオープンバスは、ガイドが前方で案内するオーソドックスなタイプです。新型オープンバス「エクリプス ジェミニ3」は、ガイド席が後ろになり、お客さまの視界を遮ることなく、眺望を存分に楽しんでいただけます。
「アストロメガ」はお客さまのお席が2階にあり、バスガイドは1階のガイド席に座ってご案内するので、声がスピーカーを通して1階から2階に届きます。

漆黒で高級感のある「ピアニシモⅢ」は、ゆったりとくつろげるシートが特徴で、座席数は通常バス45席の約半分、24席となっています。私も一度、研修で乗車したことがあるのですが、とても座り心地がよくリラックスできるのですぐ眠くなってしまいました(笑)。

──観光地の歴史、文化の知識はどのように勉強されていますか?
入社後は約1カ月半の初期研修からスタートし、まずは辞書ほどの厚さがある教本を暗記してから、東京都内を実際に走ります。研修では先生が「右側には○○が見えるよ」と景色やルートを次々と教えてくれるので、それを急いでノートに書き留めて、自分だけの「路線図」を作っていきます。それから段々と東京都内から横浜方面、山梨、千葉へと、関東エリアへ少しずつ範囲を広げていきます。
関東近郊のエリアをくまなく学びますが、あまり行かないところが担当になると「なんだっけ?」と忘れてしまうことが非常によくあります(笑)。入社後、バスガイドデビューしたばかりの頃は本当にドキドキでしたね。
はとバスガイドさんが選ぶ推しSA・PAはここ!お気に入りスポットやグルメ、おすすめツアーをご紹介
──高速道路をよく知る鈴木さんのお気に入りのSA・PAはどこですか?
本当に悩んだのですが、やっぱり「羽生PA(上り)」ですね。『鬼平犯科帳』モチーフの江戸時代の見た目が魅力的です。

羽生PA(上り)は東京駅へ戻る途中に立ち寄るので寝ているお客さまもいらっしゃいますが、到着して建物が見えた瞬間に「おー!」という声が上がって盛り上がります。「鬼平犯科帳ですよー!」と堂々と言えるのも嬉しくて(笑)。鬼平江戸処オリジナル商品なども購入できるので、観光地のような感覚で楽しめます。

羽生PA(上り)に立ち寄るときはいつも一本うどんを食べたいなと思っていて。SA・PAにいられるのは基本的に15分から20分ほどのお手洗い休憩なので、バスガイドは食事する時間がないんです。お客さまの中には、休憩中に食事を楽しまれる方もいらっしゃいますが、バスガイドがゆっくり見て回って、ギリギリに戻ってくるというわけにもいかず(笑)。いつか一本うどんを味わってみたいです。
羽生PA(上り)あと、私は福島の出身なので、東北道のSA・PAはとてもおすすめですね。私はまだ研修を受けておらず担当エリア外なので、これから行けるのを楽しみにしています。昨日ちょうど調べたら、「国見SA」は蛇口から出る桃のジュースや、ソウルフードの揚げ菓子、凍天(しみてん)が売っているんです。定番のおみやげはままどおるや薄皮饅頭なんですが、凍天があると知ってびっくりしました。

──ほかに、グルメでおすすめのSA・PAはありますか?

「佐野SA(下り)」の佐野らーめんケーキです。見た目は本物の佐野ラーメンそっくりですが、実は冷凍のモンブランケーキなんです。研修のときに実際に食べて、見た目も面白くておいしいなと思い、お客さまにもおすすめのおみやげとして紹介しています。


ゆっくり楽しみたいのは「Pasar三芳」ですね。リニューアルされてから規模が大きくなって、お野菜がたくさん販売されていたり、川越のおいもを使ったスイーツのいも恋があったり。バスガイドの中でも「見たいものがたくさんあるね」と話題になります。
ただ、Pasar三芳はお客さまにあまりおすすめしすぎると広すぎてなかなか戻ってこられないため、「お気をつけくださいねー!」とよくお声がけします(笑)。
Pasar三芳 Pasar三芳のみどころ紹介はこちら──ロケーションがお気に入りの高速道路やSA・PAはありますか?

景色がきれいだと思うのは、善光寺平や北アルプスの山々を一望できる、長野道沿いの「姨捨SA」です。関越道から上信越道へ向かうルートも好きで、赤城山・榛名山・妙義山の上毛三山などたくさんの山々が車窓に広がるため、「あ、見えましたね!」とお客さまと一緒に景色を楽しんでいます。
姨捨SA(上り)──東日本エリアでおすすめの観光ツアーを教えてください。
これから秋にかけてですと、東京を約1時間で巡るオープンバスツアー「東京いちょう回廊」がおすすめです。毎年11月から12月頃の期間限定で運行されていて、オープンバスならではの開放感の中、イチョウ並木を間近に眺めることができます。

郊外を巡るツアーでは、自然や季節感を感じられる「長瀞ラインくだり」とバーベキュー、ブドウ狩りを組み合わせたコースがおすすめです。
季節限定のコースは特に人気がありますが、お花の見頃などはその年の天候にも左右されるため、ある意味「賭け」なところもあってドキドキです(笑)。見頃を逃してしまったときは、「バスガイドの話を楽しんでくださいね!」という気持ちでご案内しています。
はとバスガイドさんに聞く!観光バスの裏側と長距離ドライブを快適に楽しむアドバイス
──はとバスガイドの基本的なスケジュールや、ルーティーンを教えてください
出勤後は制服に着替え、その日のスケジュール、注意事項の確認など点呼を行い出庫します。定期観光バスツアーの場合、東京駅まで40分から50分かけて向かう道中で、運転士とツアーの行程や走行ルート、立ち寄り先などを確認します。

東京駅でお客さまをお迎えしたらツアーを開始。お客さまをお送りし、ツアー終了後は車内に忘れ物がないかを一通りチェックして、車庫へ戻ります。
帰ってきてからはバスの車内清掃を行います。窓とテーブル、床の掃除や、シートベルトと空調口のチェックをして、次に利用されるお客さまが気持ちよく乗車できるよう整えます。最後に「今日の乗務に異常はありませんでした」と報告して、一日の業務が終わります。
──バスガイドのお仕事で知られていないこと、「実はこんなことも」といった裏側のお話を教えてください。
バスガイドの仕事で意外な仕事だと、重い荷物の積み下ろしです。修学旅行では朝一番にキャリーケースをバスへ積み込みます。基本的には運転士と一緒に作業しますが、運転士がお手洗いや添乗員さんと打ち合わせをされるときは、バスガイドが1人で40個ほどの荷物を運ぶこともあり、腰や手が痛くなることもあります。
あと、仕事をしていて困ることは、虫捕りですね。車内に虫が入ってきたらご案内を中断して虫を捕まえるんですが、私は虫が苦手で、「うわー!」と言いながら必死に捕まえています(笑)。特に奥日光では黄色いバスだからなのか、トンボなどが車内に入ってしまうことがよくあります。

──バスツアーに参加される方や長距離を運転される方へ、快適に過ごすためのアドバイスがあれば教えてください。
バスツアーでおすすめしたいアイテムは、S字フックですね。常連のお客さまがよく持っていて、前の座席などに掛けてバッグを吊るせるのがとても便利です。S字フックを使っているお客さまがいると、「この方はツアー慣れしているな」と分かります(笑)。私自身も、社員旅行などでバスに乗るときは持っていきたいです。
眠気対策ですと、私は甘い食べ物が意外と気分が上がって起きられるなと思っています。辛いタブレット系が苦手な方は、甘いものを試してみるのもおすすめですね。ほかにも、ちょっとした手作業をして眠気を紛らわせたり、ハンドクリームやネイルオイルを使って気分転換をしています。
お仕事のやりがいと観光客へのメッセージ

──お仕事をしていくなかで、日々心掛けていることは何ですか?
ご案内のときは、基本的に明るく大きな声でお話しするようにします。ただ、食後や帰りの車内では眠っているお客さまもいらっしゃるため、その時の雰囲気に合わせて少し落ち着いたトーンにするなど、車内の様子を見ながら話し方を調整しています。
また、同じツアーでもお客さまに合わせてご案内の内容も少しずつ工夫しています。小学生の修学旅行ではクイズを多く取り入れると盛り上がりますし、大人のお客さまには歴史の話や、お酒やグルメなどをご紹介しますね。
──バスガイドのお仕事でやりがいを感じるときや、日々のモチベーションにつながっていることを教えてください。
私はお客さまとのやり取りがすごく好きで、お客さまから直接「ありがとう」と言っていただけることが一番のやりがいです。ツアーの最後に「あなたは天職だよ!」と声をかけていただくこともあって、「うれしい!これからも頑張ろう!」という気持ちになります。これまで積み重ねてきた勉強や努力が報われたと感じられる瞬間ですね。

あとは、毎日訪れる場所や目にする景色が変わることを楽しんでいます。その土地の歴史や文化、食べ物について学んだことが自分の知識や経験として増えていくことがうれしいです。
──最後に、はとバスツアーを楽しむ人へメッセージをお願いします。
バスツアーは、運転を気にせず旅行を楽しめることが魅力です。また、バスガイドがいることで普段は気づきにくい見どころや知識に触れることができるため、新しい発見があったり、より深く楽しめるところも魅力だと思います。
特に地方から東京へ来られる場合だと、自分で調べながら東京を移動したり、電車で駅を乗り換えることに不安を感じる方も多いと思います。はとバスツアーなら、バスに乗っていただくだけで観光地までお連れして、私たち乗務員が安全に、そして楽しい1日をお届けしますので、ぜひ気軽に利用していただきたいです。
はとバスツアーや高速道路ドライブで、東日本エリアの魅力を再発見!

今回は、はとバスガイドさんに東日本エリアの観光の楽しみ方を伺いました。
はとバスツアーでは、移動時間も楽しみに変えてくれるガイドさんの案内や、その土地ならではの景色やグルメとの出会いが盛りだくさんです。
高速道路を走るドライブでは、SA・PAでの休憩や立ち寄りも旅の大きな楽しみのひとつ。観光地のほかにも、移動中の景色やSA・PAにも注目して、東日本ドライブの新たな魅力を探してみてはいかがでしょうか。
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。