未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
163

『旅の思い出』編 北の大地をロードムービーのように 親子三人、キャンピングカーで旅をした

文= 川内有緒
写真= 川内有緒
未知の細道 No.163 |10 June 2020
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#3動物たちとの出会い

その晩は、富良野の「星に手のとどく丘キャンプ場」で一夜を過ごした。丘の上に広がる草地が気持ち良く、頭上いっぱいに空が広がっている。
そして、このキャンプ場には、思いがけない副産物があった。ウサギと羊だ。
「おー、やったねー!」とナナオに声をかけた。
実はこの北海道の旅には、もうひとつのテーマがあった。動物が好きな娘に色々な動物を見せてあげたい、というものである。
ラッキーなことにこのキャンプ場では、たくさんのウサギと羊を飼っていた。ナナオは喜んでウサギに餌をあげにいき、指を噛まれながらも、ウサギ小屋から離れようとしなかった。

その夜は、初めてキャンピングカーで眠った。クルマのドアを閉めればホテルになる、というのはとても楽だ。
「ここで寝るんだよ!」
と運転席の上に設えられたベッドスペースを娘に見せると、「えええ、すごい」と驚いていた。穴蔵のようで眠るには快適そうだ。本を開いて横になると、すぐに眠りに落ちた。
真夜中には、トイレに起きた友人の「わあ、すごい星!」という声が聞こえたが、疲れていたのか起き上がることはできなかった。

朝の時間は、ことさら最高だった。
霧が立ち込める幻想的な景色の中、たくさんの羊が放牧されている。のんびりと草を食む羊たちを眺めながら、私たちは前日に買っておいたベーグルを温め、紅茶を入れ、朝食を食べた。すばらしい1日のスタートだ。
ちなみに知床までは往復約500キロ。
本気でゴール・知床を目指すとなると、毎日100キロくらい進まないといけないはずだったが、まだ50キロしか進んでいなかった。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。