化石への思い入れを深めるには、なによりも想像力が大切なのではないか。私は今回の取材でそう学んだ。
なので、まずは一緒に8900万年前、白亜紀後期の地球を想像してみてほしい。以下は、研究員の歌川さんに教えてもらったり、自分で調べてみたりしてわかったことだ。
8900万年前の地球は、今よりもずっと温暖な気候で海水面も高かった。今の地球の地形とは、まったく異なる姿だったのだ。
日本列島はまだ存在せず、大陸と地続きの一部だった。その頃の森は、シダや裸子植物がうっそうと生い茂り、恐竜たちの楽園だった。
アンモナイトは、現在の生き物だとイカやタコの仲間に近い生物らしい。海流に乗ってふわふわと漂う巨大アンモナイトが、水を吸ったり吐いたりしながら泳いでいた。また浅瀬には比較的小型のアンモナイトや二枚貝が生息していた。それらを食べるモササウルスや古代サメなども、同じ海に泳いでいたという。
そして約4億年前から存在してきたというアンモナイトは、多くの種に分かれながら進化し、最終的には恐竜と共にすべての種が絶滅した。
この体験発掘場は、かつて約8900万年前の海底に堆積した砂や生物の遺骸が地層となり、地球のプレートの動きで地表に押し上げられてできた場所だ。
私たちは、その壮大な地殻変動を経た地球の今を生きている。