次に、向かったのは「ウェットランド」。ここもまた、スタッフたちの手でつくり上げられた施設だ。
熱帯の湿地環境を再現した施設内では、アカカワイノシシは水辺で鳥たちと戯れ、ワオキツネザルが木から木へと軽やかにジャンプしていた。
「ここは、以前ドッグショーをしていた施設を改装して作りました。なかに大型車を入れることができなかったので、スタッフ総出でバケツリレーをして土を運んだんですよ。レストランのスタッフも、受付のスタッフもみんなで手伝ってくれて。今思うと、文化祭の準備みたいですね(笑)」
ちなみに、前園長の佐藤さんが那須どうぶつ王国を引き継いだのは2006年のこと。当時、園の経営は深刻な赤字に陥っていた。佐藤さんは、那須連山の景色をさえぎっていた看板や遊園地を思いきって取り払い、動物たちが主役となる空間をめざして動き出した。
その結果、年間18万人ほどだった来園者は50万人を超えるまでに。那須どうぶつ王国を立て直しただけでなく、動物園という場の在り方そのものを問い直し、新たな可能性を切り拓いたのだ。
佐藤さんの想いは、今も園内のあちこちに息づいていている。なにより動物たちが生き生きとしているし、よく見渡すと手作りならではの温かみを感じる。平野さん曰く「たこ焼き3つ」の岩も、そのひとつ。足を運んだ際は、ぜひ探してみてほしい。
そうこうするうちに、真白の飼育員さんへのインタビューの時間が近づいてくる。その前に、聞きそびれていたことを質問してみた。
「佐藤さんのイメージ図って残っているんですか?」