未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
282

日本初・誕生の裏側をたどって 幻の白いオオカミに会いにいく

文= 奥村サヤ
写真= 奥村サヤ
未知の細道 No.282 |10 June 2025
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#7思った以上に、イメージ通り!!!

「そういえば、もう何年も見てないなあ。まだ残っているのかなあ」と言いながら探しに行ってくれた平野さんが、「ありましたよー!」とファイルを抱えて戻ってきた。

イメージ図を描いたのは、那須どうぶつ王国で受付スタッフを務める永井麻美さん。18年間、園の顔として来園者を迎え続けてきたベテランだ。

子どもの頃から絵を描くのが好きだったという永井さんは、構想をイメージ図として描き起こす大役を任された。とはいえ、自ら「描きたい」と手を挙げたわけではなかったという。永井さんは、こう振り返る。

「『永井さん、絵上手だったよね?』って言われて、『じゃあ、描いてみる?』って流れで描くことになっちゃったんです。でも、園長のこだわりがとにかく強くて細かいので、ダメ出しの嵐でした。『この動物はこんな顔じゃない!』とか、『自然界にこんな地層はない!』とか(笑)。内心、『そんなのわかんないよ?』って思いながらも、悔しくて次は絶対に文句を言わせないぞって気持ちでやりきりました」

仕事中にも関わらず快くスケッチを見せてくれた永井さん

永井さんのスケッチを見せてもらって、思わず「すごっ……!」と声が出てしまった。想像以上に、イメージ図そのままなのだ。

  • 那須どうぶつ王国のエントランス
  • まるで森の入り口のよう
  • ユーラシアカワウソが住むオッタークリーク
  • 洞窟の中に迷い込んだような雰囲気。
  • 熱帯の湿地環境を再現したウエットランド
  • 自由な雰囲気のウエットランド

スタッフの皆さんが、どれだけ丁寧に“園長の頭のなか”を形にしようとしてきたのかが伝わってきて胸が熱くなった。

そして、「これが最後に描いたスケッチです」と見せてくれたのが「オオカミの丘」。はじめてデジタル描に挑戦し、試行錯誤しながら仕上げたという。

そこには北極圏の森の風景があった。私がホッキョクオオカミに出会った場所が、いかに佐藤さんのイメージ、永井さんのスケッチを忠実に再現して作られたのかを知り、胸がいっぱいになった。

  • 「初めてなので恥ずかしいんですけど……」と見せてくれたデジタル画
  • 森の奥にはまったり過ごすオオカミたちの姿が

気づけば、取材の時間だ。永井さんにお礼を伝え、真白の飼育員さんのもとへ向かった。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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