未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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宇宙の出島「コスモアイル羽咋」へ――本物を信じた男の軌跡を追って あなたはUFOを見たことがありますか?

文= きえフェルナンデス
写真= きえフェルナンデス
未知の細道 No.294 |10 December 2025
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#2本物のロケットが立つ町

アメリカ製のマーキュリー型レッドストーンロケット。全長26.6mと小型だ

円盤形の建物の横に、「UNITED STATES」と赤字で書かれたロケットがそびえ立っている。

全長26.6メートル。アメリカ製のレッドストーン・ロケットだ。これが本物だと聞いて、まず驚いた。日本でNASAの本物のロケットが見られるのは、ここだけらしい。

建物に入り、エレベーターに乗り込む。扉が閉まった瞬間、照明が消えた。

「わっ」

一瞬びっくりしたが、そうだ、これだ。中学生の時も、この演出に驚いて声を上げた記憶がある。薄暗い空間に惑星が浮かび上がり、ゆっくりと上昇していく。まるで宇宙へ向かっているような感覚になる。

ドアが開くと、目の前には扇形の展示室が広がった。

アメリカのマーキュリー宇宙船

「こちらがアメリカが開発した最初の宇宙船の『マーキュリー』です」

今回特別に館内を案内してくれたのは、この博物館の発案者、高野誠鮮(じょうせん)さん(以下、高野さん)の息子であり、営業主任の高野誠明(じょうめい)さん(以下、誠明さん)。

「外にあったレッドストーン・ロケットの先端部分がこれですね。一人乗りで宇宙船としてはかなり小型です」

円すい形のマーキュリー宇宙船は、なかを覗くと思っていたよりずっとコンパクトだった。大人ひとりがやっとで入れるくらいのサイズだ。こんな狭い空間に人が乗って、本当に宇宙に行ったのか……。

次の瞬間、その隣に並ぶ丸い物体を見て、思わず声がでた。「うわあ」。

旧ソ連のボストーク宇宙カプセル

「こちらは、実際に宇宙から帰還した旧ソ連の宇宙船『ボストーク』です」

誠明さんの説明を聞きながら、私は思わず近づいた。

表面が黒く焼け焦げている。大気圏再突入の際の摩擦熱で焼けたのだという。手を伸ばせば触れそうな距離に、宇宙から帰ってきた本物の、宇宙船がある。

「日本で旧ソ連時代の宇宙船を実際に見られるのは、うちだけなんですよ」

なんだろう、この感覚は。

子どもの頃、図鑑で見た宇宙船。テレビで見たロケット打ち上げ。それらは確かに「宇宙」への憧れをかき立てたけれど、どこか遠い世界の話だった。でも今、目の前にあるこの焦げた金属の塊は、確実に宇宙へ行って、そして帰ってきたものなのだ。

「うわあ……」

また思わず声が漏れた。全身に鳥肌が立つのを感じた。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
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