
アメリカ滞在中に、もうひとつ大きな収穫があった。次の年の2024年5月、キューバサンドの世界大会があるという情報を得たのだ。調べてみるとインスタグラムの公式アカウントがあり、試しに「来年、大会に出たいんだけどどうすればいいですか?」とメッセージを送ってみた。
すると、「自分のお店がないと参加できない」と返信をくれたのが、世界大会の主催者本人。そこで「帰ったらすぐお店を作ろうと思ってます」と返し、そこからこまめに連絡を取るようにした。最初は世界大会ってどんな感じだろうという好奇心だったが、主催者とつながり、具体的に出場の可能性が見えてきたことで、船井さんの本気に火が付いた。
スケボーでプロを目指したように、社長に恩返しするためにがむしゃらに働いたように、スイッチが入った時にはフルスロットル。7月に帰国するやいなや地元の蒲田で物件を探し回り、五差路に面した小さな物件を見つけるとすぐに契約。12月16日には、キューバサンド専門店「PAN」をオープンした。
その間も、世界大会の主催者に進捗状況を報告。返信がない時には再度メッセージを送る念の入れようで、「細い糸」(船井さん)が途切れないように、少しずつ、慎重に手繰り寄せていった。この積極的かつ慎重なアプローチが実ったのは、翌年の2月。主催者から、メッセージが届いた。
「出場の準備は整ったかい?」