未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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本場アメリカで頂点を極めたホットな味! 世界一のキューバサンドを東京で食べる。

文= 川内イオ
写真= 川内イオ、三村健二、竹田りな
未知の細道 No.295 |25 December 2025
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#9嬉しい悲鳴

通りを挟んでお店の向かい側にあるイートインスペース。

「PAN」開業前は、妻とふたりで朝から夜まで営業しようと考えていた。しかし、2024年8月に子どもが生まれたこと、想像以上にお客さんが増えたことで計画変更。多少変則的ながら、営業時間は金曜から月曜の9時~15時(※14時までの日もあるため、インスタグラムで要確認)にして、火曜から木曜は仕込みにあてることにした。

子どもを保育園に預けることができたため、妻と船井さんの母親の手を借りて3人で仕込み、営業日には妻とアルバイトと3人で店頭に立つ。このスケジュールを見て、気づくだろう。船井さん夫婦はいま、休日ゼロ。3日間かけて用意したキューバサンドを、4日間、昼間の営業だけで売り切っている。それだけのお客さんが来ているということだ。

「すぐ近くにホテルがあって、外国人の旅行者がたくさん泊っているんですよ。その人たちが朝食にキューバサンドを食べに来て、朝から席が埋まることもあります。外国人のお客さんからもすごく評判が良くて、アメイジング!って言われましたね」

お店の繁盛は嬉しい悲鳴ながら、あまりのハードスケジュールに身体も悲鳴を上げた。今年に入って十二指腸潰瘍を患い、倒れてしまったのだ。そこで最近は小学生時代からのスケボー仲間に手伝ってもらい、仕込みの時間をなるべく早く切り上げるようにしている。経営者としてはまだ、手探り状態。でも、大きな手ごたえを感じている。

「2023年に恵比寿でイベントに出展した時は、キューバサンドってなに? という反応だったんです。それが最近、日比谷公園のイベントに出たら、キューバサンドの店がうちともう1軒あって、どっちも大行列だったんです。お客さんも、『キューバサンド、楽しみにしてました!』という感じで、キューバサンドを知っている人が多くて。世界大会で優勝して、日本でキューバサンドを広めることに少しは貢献できたと思います」

キューバサンド以外にもいろいろ売っている。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
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