未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
298

「鉱山電車」の記録と記憶をたどって 日立の見えない線路を歩く

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.298 |10 February 2026
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#6日立の創業の地 山手工場をのぞむ ―芝内停留所―

  • 県道36号よりかなり高い位置にある軌道跡、県道の法面を見るとわかる

諏訪台を下り、「芝内停留所」を目指して、どんどん歩く。わたしたちが歩いている線路跡はかなり高い位置にあったが、数メートルほど下り、やがて県道36号と合流した。

ここでも立ち止まって、正木さんや田切先生とともに、資料の古写真と現在の道路の位置関係を確認しながら、軌道跡を推測する。

  • 道路と道路の間にある段差のある側道が軌道跡だと思われる。

芝内停留所は、町の人々からはいまも「山手工場」と呼ばれる大きな工場の前にあった停留所である。山手工場は1910 年から稼働する日立製作所の創業の地だ。助川停留所とともに、ここ芝内停留所も工場で働く人など、多くの人々が乗降した場所なのだ。線路は分岐し、構内に入る引き込み線もあったそうだ。

  • 現在の山手工場前(左)と、ありし日の芝内停留所(右)
  • (写真提供:コート日立写真館)

山手工場をあとに、県道36号を進む。すぐ左手に現れる歩道橋を渡る。その後にすぐまた、線路跡が見えてくる。

「当時の線路は歩道橋の踊り場と同じくらいの高さがあったでしょうね、かなり高い」と田切先生が、正木さんと位置を確認し合う。左手に続く、道路よりずっと高い位置にある線路跡は藪の中に埋もれてしまっている。それを見ながら私たちはさらに進んでいった。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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