
その2年間を、フライドポテトの開発だけに費やしていたわけではない。おいしいもので溢れている日本では、どう売るかで運命が変わる。開発期間はコロナ禍にあたり、お客さんを待つしかない店舗は軒並み苦境に立たされていた。そこで「自分から売りにいこう」と、フードトラックで販売する道を選ぶ。それも、町なかでよく見るコンパクトなキッチンカーではなく、バスをDIYで改装したインパクトのあるデザインにした。
どこで売るのかも、こだわった。人が多い札幌ではなく、あえて人口4万2000人ほどの海沿いの小さな町、厚真町にした。実はこの町、北海道屈指のサーフスポットで、年間6万人が訪れるという。
厚真町には上野さんのサーフィン仲間がいて、養鶏農家をしているその人が敷地の一部をキャンプ場にする際、上野さんがアドバイザーを務めていた。そのキャンプ場のオープンに合わせて、「zzz365」のデビューを決めた。
迎えた2023年4月29日、「zzz365」オープン。上野さんは当初、仕込みから販売までひとりで担った。
「孤独な戦いですよね。毎日だいたい40キロぐらいしか仕込めませんでしたし。でもありがたいことに、キャンプ場のお客さんやサーフィンをする人たちが買いに来てくれて、リリース当初から毎日完売になりました」
それからは、マーケティング調査や商品開発のコンサルティングなど別の仕事も請け負いながら、毎週末、フードトラックを駆ってフライドポテトを売って回った。
どこに行ってもお客さんの反応が良く、手ごたえを感じていた5月のある日、日本フライドポテト協会の関係者から「Japan French Fries Championshipにエントリーしませんか?」と声がかかる。エントリー後に審査が行われ、エリア代表に選ばれると決勝大会に進出するという流れだ。
審査を突破した「zzz365」は北海道代表として「Japan French Fries Championship 2024」に参加することになった。