理科ハウスは、当初、理科の授業が始まる小学3年生以上を対象としていた。ただ、年齢制限を設けていたわけではなく、1年生や幼児も来館していた。今では手の届く場所に置いてある実験道具も、当時は危なくないように、子どもの手が届かない場所に片付けていたという。
開館当初、どれほどの人が来てくれるのか不安もあったが、初日から50名ほどの親子連れが来館した。休館日に訪れる子どももいるほどで、開館から約1カ月で来館者は1000人を超えたという。子どもたちとの関わりは、外部からの評価につながった。2014年には理科教育の優れた取り組みに贈られる「小柴昌俊科学教育賞」優秀賞を受賞した。選考では「子どもたちが理科ハウスの展示にどのようにかかわっているか」をテーマにプレゼンを行った。充実した日々を過ごしながら、10年が過ぎた。
開館当初、理科ハウスは10年続けることを目標に予算を組んでおり、2018年には閉館することも考えていたという。ところが、同年「科学ジャーナリスト賞」の特別賞を受賞する。選考委員には、ノーベル化学賞を受賞した筑波大学の白川英樹名誉教授らが名を連ねていた。白川先生は理科ハウスに2度も足を運び、「入り口から帰るまで驚きの連続」と語ったという。
10年で終わりにするのかどうか、森さんたちは大いに悩んだ。みんなが評価してくれているのに、辞めていいものか。できることなら続けたいという気持ちもあった。