蛇紋岩やヒスイ、コランダム、ラピスラズリは数億年前にできた「古い石」。では、「新しい石」はどこから来たのだろう?
「フォッサマグナが関係しています。フォッサマグナは、ラテン語で『大地の大きな溝』という意味です。昔、中国と日本は陸続きだったんですが、約2000万年前、火山活動が起きて日本が離れます。その後、日本の陸地が真っ二つに割れちゃうんですよね、バキッと。その折れた部分をフォッサマグナと言います」
現在の地図で見ると、糸魚川市から静岡市、柏崎市から千葉市にかけて陸地は縦に引き裂かれ、その間は海になった。真っ二つに割って、「く」の字に置いた板チョコをイメージするとわかりやすい。「く」のくっついているほうが糸魚川市と柏崎市だ。糸魚川市と静岡市まで続く断層を「糸魚川―静岡構造線」、もうひとつを「柏崎―千葉構造線」と呼ぶ。
その後、火山活動や地震などの地殻変動によって、「く」の凹んだ部分に砂や泥、溶岩などが堆積していった。そうして長い時間をかけて再び陸地ができて、今の本州が形成されたのである。
「糸魚川は海だった場所と陸地だった場所の境界にあって、海を埋め立てた新しい石も、日本の土台を作る古い石も出てくる珍しい土地です。だからこそ、ユネスコの世界ジオパークに認定さているんです」
糸魚川市内ではヒスイ海岸のほかに青海海岸、須沢海岸、親不知海岸でも多種多様な石が転がっており、「海岸で見つかる石の種類は日本一」だと自称している。これが、糸魚川市が「石のまち」を標榜する理由だ。
なかでも、糸魚川市は日本一のヒスイの産地として知られる。鉱物好きが高じて東京の高校から新潟大学の地質科学科に進み、長らくヒスイを研究してきた専門家、小河原さんは「ヒスイって科学的に研究しても面白いし、歴史や文化も同じくらい面白い。そういう石ってほかにないと思います」と話す。
小河原さんの話を聞くと、ヒスイは想像以上に謎めいた存在だった。