

その結果をお伝えする前に、そもそもなぜ糸魚川の海岸に宝石が転がっているのだろうか? 糸魚川市内にある石の博物館フォッサマグナミュージアムの学芸員で理学博士の小河原孝彦さんに話を聞くと、そこには地球規模の物語と不思議なエピソードがあった。
「糸魚川は古い時代の石、新しい時代の石、地下深くの石、地上の石、それらがすべて見られる石の宝庫として『石のまち』と掲げています。さらに、宝石として売れるような石が海岸に落ちている場所となると、日本国内でも糸魚川くらいしかないと思いますよ」
小河原さんによると、糸魚川は特異なエリアだ。まず、話は5億年前に遡る。その頃、地球を覆っている地中のプレートがグーっと沈み込み、低温高圧の場所ができた。「地下深くで高い圧力を受けることでできる変成岩」であるヒスイは、この時に形成された。
同じ環境で生まれたのが、蛇紋岩。この変成岩はほかの石に比べると軽いため、浮力が働いて地上に向かう性質を持つ。その際に、ヒスイを含む周りの石を巻き込む。
「我々はよく、蛇紋岩はトラックで積み荷がヒスイと言い表します。ヒスイを載せた蛇紋岩が数億年かけて上がってきた場所が、今の糸魚川のあたりなんです」
蛇紋岩が運ぶのは、ヒスイだけではない。
「姫川や糸魚川の海岸では、コランダムというルビーやサファイアの原石(変成岩)も転がっています。ラピスラズリも同じように蛇紋岩に運ばれてきたと予想されます」
ちなみに、テレビ番組『なんでも鑑定団』の2025年10月7日放送回では、糸魚川で採れたコランダムの原石が鑑定に出され、380万円の評価がついている。糸魚川は石の宝庫であり、宝石の宝庫と言っていいだろう。