ヒスイの謎は、まだ続く。3つ目の謎は、現在の糸魚川市を含む「越(こし)の国」を治めていたとされる「奴奈川姫(ぬなかわひめ)」の伝説。奈良時代の712年に編纂された現存する日本最古の書物『古事記』には、出雲大社のご祭神、大国主命(おおくにぬしのみこと)と奴奈川姫が結ばれたと記されている。
あくまで「伝説」とはいえ、日本神話のなかでも重要な存在である大国主命がなぜ、恐らく当時、辺境の地だった越の国の姫と? その理由が、ヒスイと推察されているそうだ。
「出雲大社付近の遺跡からも糸魚川のヒスイの勾玉が見つかっており、当時の出雲の勢力も糸魚川のヒスイに注目していたのでしょう。面白いのは、新潟県には出雲崎をはじめ出雲の地名がいくつかあるんですよね。そして出雲にも『越』という地名があるんですよ。さらに、越の人たちが出雲に来て堤防を作ったという言い伝えがあり、その堤防も残っています。そう考えると、あながち空想の世界の話ではなく、実際に出雲の人たちと越の人たちの交流があったと思うんですよね。 そのひとつとして、奴奈川姫の伝説があると考えます」
ヒスイを通じて交流があっただろう出雲と越の国。その痕跡が「恋愛物語」として日本最古の書物にも記されていると想像すると、なんだかエモいと感じるのは僕だけ?