誤算だったのは、想像以上に石ころだらけの海岸だったこと。さらに、「お宝があるかもしれない」という欲望にギラついた目で見ていると、なんでもお宝に見えるとわかった。「干し草の中から針を探す」という言葉があるけど、インターネットでヒスイとラピスラズリの画像を見ただけの素人が膨大な石ころのなかからヒスイやラピスラズリを見つけるのは、それより難しそうだ。
そこで僕は、防水ウェアに身を包んだ見るからに本気度の高いヒスイハンターに声をかけた。「松殿」というSNS名で日々の成果をアップしているという彼は糸魚川市内在住で、週末に海岸を巡っているという。もともとヒスイが好きで、採取したヒスイは家に飾っているそうだ。脳内が¥マークの自分が少し恥ずかしい。
まず、自分なりに「ヒスイかも?」と思って採取した石を見せたら、「これは違いますね」と秒殺された。がーん! やっぱりそう簡単にはいかない。
「水に濡れている時は貝殻の光り具合とよく似ていて、乾いても光っているのがヒスイですね。ヒスイを見つけられるかどうかは、タイミングと運と根気。波に運ばれてくるから、今日なくても明日あるかもしれない。絶対に見つかると思って探すことが大切です」
その後、松殿さんはヒスイを求めて海岸沿いを歩いて行った。それから20、30分ほどして戻ってきた彼が「採れました」と見せてくれたのは、緑と紫っぽいヒスイ! 貝殻っぽい輝きという意味もわかった。
それにしてもこんな短時間で2個もゲットするとは! このとき僕の頭に浮かんだのは、「……てことは、けっこうたくさん落ちてるのかな。おれもワンチャンいけそうだ!」。