未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
157

16キロを走破した僕らは、ワン!チーム 北海道の雪原を犬ぞりで駆ける!

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.157 |10 March 2020
この記事をはじめから読む

#2マッシャーへの憧れ

遡ること5年前の2015年3月、インターネットである記事を読んだ。それは、本多有香さんという日本人女性の犬ぞりレーサー(マッシャー)が、アラスカ州中南部のアンカレッジを出発し、同州西部ベーリング海沿岸のノームに至る総距離1000マイル(約1600キロ)の「アイディタロッド犬ぞりレース」で、12日8時間32分55秒かけて完走したというニュースだった。え、12日!? と驚いたことを、今でも覚えている。

気になって調べてみたら、本多さんは2012年に、アメリカのアラスカ州フェアバンクスからカナダのユーコン準州ホワイトホース間の総距離1000マイル(約1600キロ)を犬ぞりで駆け抜ける「ユーコン・クエスト」も完走していて、「北米2大犬ぞりレース」を完走した唯一の日本人女性だった。

僕は子どもの頃、「将来はムツゴロウ王国で働きたい!」と夢を抱く動物好きで、その願いは叶わなかったけど、大人になってからも変わらず動物が好きだ。特に犬は、ムツゴロウさんみたいに、「よーしよしよしっ」と撫でて、積極的に仲良くしたいと思っている。

加えて、千葉市の住宅街出身、今は東京品川区という自然と無縁の場所で暮らすせいか、ワイルドライフやアウトドアのアクティビティに強い憧れを持つ僕は、本多さんの存在を知って以来ずっと、「犬ぞりに乗ってみたい」という思いを温めていた。

もちろん、どうせやるなら、観光地で観光客向けに提供されている短距離のアトラクションではなくて、マッシャー気分をしっかり味わえるプログラムに参加したい。とはいえ、アラスカに行く時間も余裕もないし、日本のどこかでできないかな?……冬が来るたびにそんなことを考えながら、春になる頃には忘れ、実行に移すことなく1年が過ぎ、2年、3年、4年と経った冬のある日、また唐突に「犬ぞり欲」が湧いてきた。そこで、そもそも、日本でそんなことができるのか? と思って検索したら、出てきたのだ。

―「そり犬」の扱い方や操縦法の練習をして、2~4頭引きの犬ぞりをご自身で操縦します。
―ひとり1台の「そり」をご用意しています。
―往復20キロの犬ぞりツアーには、お楽しみのランチタイムも含まれています。

操縦方法を学び、ひとり1台のそりで往復20キロ。これはお遊びじゃない! と直感したね。素人に20キロも走らせるなんて、ただならぬモチベーションを感じる。念のためにほかも調べたけど、マッシャー体験としてこれ以上のプランは見当たらなかった。5年間もモヤモヤしていて、たまたま訪れた出会いを無駄にはしたくない。僕は2月某日、北海道の遠軽町白滝を訪ねた。

犬ぞりで走る白滝町の雪原。
このエントリーをはてなブックマークに追加

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。