未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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16キロを走破した僕らは、ワン!チーム 北海道の雪原を犬ぞりで駆ける!

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.157 |10 March 2020
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#11村林さんと犬たちの絆

犬ぞりに関わって30年の村林さんも、この仕事をしていて犬たちとの絆を感じる時に、「やっていてよかったな」と思うそうだ。

「前にテレビの取材が来た時、スノーモービルにたくさんの機材を積んで撮影していたんですけど、途中でスノーモービルが動かなくなっちゃったんです。撮影スタッフの帰りの飛行機の時間もあって、これはヤバいという雰囲気になりました。それで、5頭ずつ2台のそりで走っていたのをひとつにまとめて10頭引きにして、すべての人間と機材をそりに乗せて運ぶことにしたんです。犬たちは『これはいつもの違うぞ』と理解してくれてね。すごい重さだったけど、懸命に走ってくれたおかげで、帰りの飛行機にも間に合ったんですよ。その時は本当に誇らしかったですね」

この話を聞いたのがすべてを終えた帰り際だったから、自分のチームの犬たちの頑張りを思い出して胸が熱くなった。なぜか、最近流行りの言葉がポロリと口に出た。

「まさに、ワンチームですね」

その瞬間、これが微妙なダジャレになっていることに気が付いた。そんなつもりはなかったので恥ずかしくなり、取り繕うように「今日も、本当によく頑張ってくれました」と伝えると、村林さんが笑った。

「いやいや、彼らは普通の犬の感覚とはぜんぜん違うので、ゴールした後に『よしもう一回行くぞ』と言ったら、喜んで走り出しますよ。川内さんを乗せてもう一往復するぐらい、なんでもないんで」

ええ!? マジっすか!? そり犬たちは僕が想像するよりもずっとタフだった。犬ぞりの世界は深い。もっと知りたい。なにより、僕のチームのメンバーたちにまた会いたい。僕は胸のうちで再訪を誓った。

登り坂でスピードが落ちたところを狙って素早く自撮り(スマホを落とすと雪のなかに埋まってしまうのでお勧めしません)。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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