未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
157

北海道紋別郡遠軽町

ちょっとしたきっかけで、以前から犬ぞりに乗ってみたいと思っていた。できることならお遊び程度ではなく、本格的に。でも日本じゃ難しいだろうと思い込んでいたら、ある時、ひとり一台のそりで往復16キロを走るプログラムがあると知った。居ても立っても居られなくなり、その舞台となる北海道の白滝に向かった。

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.157 |10 March 2020
  • 名人
  • 伝説
  • 挑戦者
  • 穴場
北海道紋別郡遠軽町

最寄りのICから【E5】道央自動車道「旭川北IC」を下車

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#1往復16キロの雪中そり旅

「ハイク!」

なんだかあまりやる気なさそうにたたずむ4頭の犬の耳にしっかり届くことを意識して、腹の底から声を出した。すると、目覚まし時計に叩き起こされたかのように、犬たちが一気に走りだし、同時にそりがグググッと進み始めた。急な動きで、一瞬、のけぞる。振り落とされないように、そりの上に乗せた足を踏ん張り、一息ついて前を向いた。

力強く駆ける犬たちに引っ張れて、雪原をグングンと滑るそり。視野にはひたすら大きな北海道の空が広がり、聞こえてくるのは犬たちの息遣いだけ。雪交じりの凍てついた風に吹かれながら、僕は思わず叫んだ。

「やばいー! 気持ちいいー!」

前に2頭、後ろに2頭いる犬のうち、後ろ側の左に位置するバルトが後ろを振り向き、「この人間、なにいってんだ?」と不思議そうな顔をした。僕はもう一度、声をかけた。

「OK、レッツゴー!」

片道8キロ、往復16キロの雪中そり旅が始まった。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。