―本場仕込みなんですね。
村林さん カヌーもそうですけど、「本物志向」なんですよね(笑)。それが、今のプログラムにもつながっています。犬ぞりの事業は1997年から始めたんですが、最初はリゾート地のトマムで、10頭引きのそりを使って、後ろにお客さんを乗せて800メートルぐらい走るという、いわゆるアトラクションでした。
その時、冬場は使わないゴルフ場でやったらどうだ? と言われたので、ゴルフ場を使った3キロぐらいのコースを作って、3頭引き、4頭引きのそりで、お客さんが操縦するプログラムを始めたら、だんだん人気になってきたんです。それならもっと本格的なコースを走ってもらいたいと思って、僕らが普段トレーニングで使っている林間コースを走るプログラムも始めました。
―今のプログラムの原型ですね。
村林さん そうですね。それからずっと南富良野とトマムを拠点に犬ぞりのインストラクター、犬ぞりツアーガイドを務めていたんですが、2012年に、林野庁から借りていた林間コースが木の伐採事業のルートと重なって、1年だけ使えなくなってしまったんです。それで代替地を探している時に出会ったのが、白滝でした。
―白滝に拠点を移した理由は?
村林さん 下見に来たら、前年に支湧別小学校が廃校になって、再利用の当てもないから犬ぞりをやるなら使っていいよっていう話があったんです。ほかにも、白滝にはエゾシカの缶詰の工場があるんですけど、くず肉がたくさん出るから、ここにきたら犬の餌用に提供するよって言ってもらったり、そもそも町内にあまり人が住んでいないから、犬ぞりのコースもけっこうとれるとか、単年度で離れるのはもったいないような良い条件がいくつも出てきたので、移転することにしました。
犬たちは暑いのが苦手なんですが、ここは高原で夏場も夜は20度を下回るぐらいの気温ですし、学校の周りには民家もなくて、いくら吠えても気にしなくていいので、犬たちにとっても天国に近いぐらいの環境です。ちなみに、家族は富良野に住んでいますが、僕はこの学校の一室で暮らしています(笑)。