未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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“悩み”や“迷惑”も持ち寄ろう! 「いつだれキッチン」は今日もゆるやかに大繁盛!

文= 川内有緒
写真= 川内有緒
未知の細道 No.158 |25 March 2020
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#6焼肉屋を改造せよ!

アイディアが浮かぶと、実現せずにいられないのがとし江さんの性格らしい。すぐに駅から遠くない場所に広い平屋の物件を見つけてきた。「元々は焼肉屋だった場所で、周囲に隣接する民家がなかったのが魅力的だった」という。

それを知った猪狩さんも、実現のために西へ東へと奔走した。障害者の自立支援に関わるNPOや、引きこもりの子どもたちの支援団体、IT系企業などに声をかけ、元焼肉屋のその建物を、医療や福祉の複合施設「あらたな ALATANA」としてまとめあげたのだ。
建物やスペースをシェアすることで、「いつだれ」だけで家賃を背負う必要がなくなった。また同時に「いつだれ」には、入居する団体や通ってくる人々を軽やかに「食」でつなぐという役割も期待された。

そして、実際に始まると、たくさんの食材が「いつだれ」に持ち込まれた。野菜だけではなく、取れすぎた魚やコメ、焼き色がイマイチなカマボコ、いただきもののお菓子などなど。そして、たくさんのボランティアの人たちも。
「自分でもよくわからないけれど、なにか大きいものに、やりな! やっていいよ!って言われているように感じました」(とし江さん)

いろいろな人が一緒にお料理を作ることを楽しむ。中には管理栄養士の方も。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。