未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
282

日本初・誕生の裏側をたどって 幻の白いオオカミに会いにいく

文= 奥村サヤ
写真= 奥村サヤ
未知の細道 No.282 |10 June 2025
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#4触れ合うだけじゃない動物園

栃木県・那須高原にある「那須どうぶつ王国」は、約150種600頭の動物たちが暮らしている。

43ヘクタール(東京ドーム約10個分!)の広大な敷地で、動物たちの野生に近い姿を引き出す工夫がされ、それを間近で見ることができる。動物本来の動きや知能を活かしたパフォーマンス、手が届きそうなほどの近さで触れ合える展示が魅力だ。

さらに、野生動物の保護・保全にも力を入れている。

ツシマヤマネコやマヌルネコ、ホッキョクオオカミといった希少動物の保全活動を進めるほか、国の特別天然記念物であるニホンライチョウの野生復帰プロジェクトにも取り組んでいる。2024年には、人工育雛によって育てた雛を中央アルプスに放鳥し、自然に還すことに成功した。

雄大な那須岳を背景に展開される圧巻のバードショーは必見!

「那須どうぶつ王国では、野生環境を再現した展示スタイルが大きな特徴ですが、最初からこのスタイルだったわけではありません。そのきっかけとなった『熱帯の森』へ行ってみましょう」

平野さんに案内されて、熱帯の森の扉を開けるとムワッと湿った空気が広がった。足元にはカラフルな鳥が「ととととっ」と駆け、カメがのそのそと歩いている。動物たちに気を取られていると、平野さんの口から思いもよらない言葉が飛び出した。

「実は、この“くぼみ”、僕が担当したんですよ!」

「自分で手をかけた場所には愛着が湧きます」と誇らしげな平野さん
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。