栃木県・那須高原にある「那須どうぶつ王国」は、約150種600頭の動物たちが暮らしている。
43ヘクタール(東京ドーム約10個分!)の広大な敷地で、動物たちの野生に近い姿を引き出す工夫がされ、それを間近で見ることができる。動物本来の動きや知能を活かしたパフォーマンス、手が届きそうなほどの近さで触れ合える展示が魅力だ。
さらに、野生動物の保護・保全にも力を入れている。
ツシマヤマネコやマヌルネコ、ホッキョクオオカミといった希少動物の保全活動を進めるほか、国の特別天然記念物であるニホンライチョウの野生復帰プロジェクトにも取り組んでいる。2024年には、人工育雛によって育てた雛を中央アルプスに放鳥し、自然に還すことに成功した。
「那須どうぶつ王国では、野生環境を再現した展示スタイルが大きな特徴ですが、最初からこのスタイルだったわけではありません。そのきっかけとなった『熱帯の森』へ行ってみましょう」
平野さんに案内されて、熱帯の森の扉を開けるとムワッと湿った空気が広がった。足元にはカラフルな鳥が「ととととっ」と駆け、カメがのそのそと歩いている。動物たちに気を取られていると、平野さんの口から思いもよらない言葉が飛び出した。
「実は、この“くぼみ”、僕が担当したんですよ!」