
2022年4月、コパルはオープンした。1年目の来館者は約15万人。視察の希望は年間1000件を超える。特筆すべきは、大人と子どもの比率がほぼ1:1であること。そして、リピーター率が90%近いことだ。
「子どもも大人も単独では入れないので、子どもひとりに親やじいちゃん、ばあちゃんが連れ立ってくるケースも多いんですよ。コパルに来るために、一緒に来てくれる子どもを探している人もいると聞きます」と色部さんは笑う。
リピーター率が高い秘密のひとつが、年間200を超える多彩なイベント。スポーツ、音楽、医療、介護、福祉、食育、エンターテイメントなど「子どものために役立ちたい」という人が、企画書を持って集まってくる。「ボーイスカウト体験会」「クリーン大作戦」「お産の振り返り会」「小さなプラネタリウムづくり」、入り口前に貼ってある告知の内容は実に多彩だ。地域の力を借りることで、コパルスタッフだけではできないような、幅広い、魅力的なイベントが開催されているという。しかも原則すべて無料だ。
「癒しだけだとちょっと退屈になるときも出てくる。だから、ぱぁっとときめきを提供したいんです」
二度目の訪問時、何人かの利用者に声をかけた。
車で30分ぐらいのところにある米沢市から来た1歳のお子さん連れ家族は、最初はコパルの風変りな外観に興味をひかれたという。「仕事や遊びで山形市に来るときに、目の前を通って気になっていたんです。子どもが遊べるようになったのでやっと来ました。もう少し大きくなったら親子で駆け回りたいです」とにこやかに話してくれた。
5歳の子どもと”お店やさんごっこ”をしていた女性は、なんとスタッフの方だった。「お休みなんだけど、子どもを遊ばせたくて来ちゃいました」と笑う。
聞けば、市の北西部にある「べにっこひろば」(2014年にできた子育て支援施設)に行ったが休館日で、その足でコパルに直行したという。
休日にも職場に来るなんて、どれだけ好きなんだろう。少し意地悪な質問をしてみた「『べにっこひろば』と『コパル』、どちらが好きですか?」
「おもちゃが好きな子には、コパルは少し物足りないかもしれません。逆にここが大好きっていう子もたくさんいて、90分の遊戯時間が終わると、『帰りたくない』って泣いちゃう子もいるんです。後ろを見ると、汗だくで『もう勘弁』という顔のお父さんがぐったりしていたり。日によって、時間帯によって、集まる人の顔ぶれが変わるのも、面白いですよ」。
一度きりの訪問ではなく“戻ってくる”人たちがいるのは、温かく出迎えてくれるスタッフがいて、ともに遊ぶ仲間がいるから。 コパルが単なる遊び場ではなく、「誰かとの関係が育つ場所」だからだろう。

