翌週、私はまたコパルにいた。1週間に3回。すっかりリピーターだ。
土曜の午後、体育館は歓声に包まれていた。ボール投げ、フラフープ、縄跳び、バランスロープ、卓球.....。.子どもも大人も一緒になって、自分だけの遊び方を見つけている。
色部さんは、行き交う家族一人ひとりに目を配り、私と娘を見つけると笑顔で声をかけてくれた。
「夢中で遊んでこそのコパルなので、今日はお話はナシで」




「お母さん、今日は私と遊びに来たんでしょ!」
カメラを構える私を、ボールを手にした娘が仁王立ちで睨んでいる。そうだ、前回はうっかりスカートで来てしまい、思いっきり駆け回れなかった。「今度はズボンで来るからね」と約束したんだった。
さぁ、ここからは子どもに戻ろう。
丘の上の秘密基地のような抜け道を、四つん這いで娘を追いかける。
滑り台ではスピードについていけず、踵でブレーキをかける。
特大ネットのトランポリンでは、揺れる網の上でおろおろする私を、娘が笑いながら見ている。


「子どもと遊ぶ」というけれど、もしかしたら“遊んでもらっている”のは私のほうなのかもしれない。来年の夏も、彼女は私とここに来てくれるだろうか。
そんなことを考えていると、色部さんの言葉が浮かんだ。
「コパルで育った子どもが、いつか自分の子どもを連れて、ここで子育てをしてくれたら。こんなに嬉しいことはないですね」
娘の手を握りながら、私は思う。彼女がいつか誰かの手を引く日が来たら、この場所を訪れ、今日の私たちの笑顔を思い出してほしい。 きっとそのときも、見上げた窓の外には、蔵王の稜線が変わらず見えているだろう。
その想像だけで、胸の奥が少し、熱くなった。