未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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食堂店主の一言から始まった妖怪たちの「雪乞い」 猪苗代「雪女まつり」がつなぐ人と町の物語

文= 奥村サヤ
写真= 奥村サヤ
未知の細道 No.297 |26 January 2026
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#3妖怪屋の原点は?

さらりと書いてしまったが、まず、妖怪屋という存在が気になる。

会場へ早めに到着した私は、雪女まつりを運営する相田さんに話を聞きに行った。妖怪屋だけに、ものすごく怖そうな人だったらどうしようと身構えていたけれど、実際に現れた相田さんは穏やかな“人間”だったのでホッとした。

原点は、幼い頃の体験にある。

会津の造り酒屋で生まれ育った相田さんは、幼少期、悪さをするといつも酒蔵に閉じ込められた。真っ暗で冷たい酒蔵は、小さな子にとってどれほど恐怖だっただろう。じっとうずくまっていると、暗闇の奥に気配を感じた。見えないし、なにかはわからない。けれど、確かに“そこにいる”ものを感じていた。

その後、近所の本屋で手に取った妖怪図鑑で「蔵に出る妖怪」を見つけた。「あのとき感じたのは、妖怪だったんだ……」酒蔵での恐怖が、興味へ変わった瞬間だった。相田少年は、妖怪の世界に深くのめり込んでいった。

その後、長らく会社員をしていた相田さんだが、好きなことを仕事にしたいともがく時期があったという。そこであらためて自分を見つめ直し、思い出したのが、子どもの頃に夢中になった「妖怪」だった。

2014年、相田さんは「妖怪で人を笑顔にする」というコンセプトのもと、「妖怪屋」としての活動を始めた。しかし、最初の数年間は周囲の理解も得られず、手探りの日々が続いたという。転機となったのが、「雪女まつり」だった。

この祭りをきっかけに、妖怪を通じた地域活性化の取り組みは大きく広がっていく。「雪女まつり」は、相田さんにとっても特別な存在なのだ。

相田さんの正体は、会津の妖怪「しゅのぼん」。子どもが泣き出すほどの迫力ある姿だが、人間に化けているときは、穏やかでやさしいのでご安心を。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
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