
そのうちのひとり、平木梨里香さんに話を聞くと、 まるで、こけしに導かれて来た雪女だった。
神奈川県出身の平木さんは、小学生の頃から筋金入りの「こけし好き」。はじめて手に取った津軽こけしをきっかけに、こけしの世界に深く引き込まれていった。
中学生になると、家族に頼み込み、三大こけしの発祥地のひとつである福島県の土湯温泉を訪れた。そこで出会った一体のこけしを、どうしても諦めきれず、お年玉で1万5千円ほどをはたいて買ったという。
その様子をたまたま見ていた男性が、声をかけてきた。後になって知ったが、ふくしまこけし談話会の会長・丹治道孝さんだった。
それから約10年。丹治さんと文通を通じて近況を伝え合いながら、「将来はこけし職人になりたい」という思いを伝え続けてきた。
職人として生計を立てるまでの現実も見据え、 「高齢化が進む温泉街なら、必要とされるだろう」と鍼灸師の資格を取得。資金を貯めたのち、丹治さんの紹介で、木地師たちの住む集落があるこの町へ移住をした。 現在は、地域おこし協力隊として中ノ沢こけしの継承に携わり、職人のもとで腕を磨いている。
今回は、小西食堂の西村さんの誘いで、雪女見習いとして参加することになったそう。ご縁とは不思議なものだ。「こけしも、もしかしたら妖怪なのかもしれませんね」と彼女と話していると、雪女行列の時間が近づいてきた。