未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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食堂店主の一言から始まった妖怪たちの「雪乞い」 猪苗代「雪女まつり」がつなぐ人と町の物語

文= 奥村サヤ
写真= 奥村サヤ
未知の細道 No.297 |26 January 2026
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#10雪女まつりが、つなぐもの

松明の炎と、提灯の青い光が、異空間へと誘う。

リステル猪苗代の館内を巡回していた雪女たちが集まり、いよいよ雪女行列が始まった。行列は、雪乞いが行われる広場へと静かに進んでいく。

昼間とは打って変わり、気温は氷点下になりそうな寒さ。それでも会場は、多くの見物客で溢れていた。

中ノ沢温泉を案内してくれた聿之進さん。本来の姿に戻り、迫力の大筆を披露。その佇まいがとにかく格好いい

広場に着くと、中央に組まれた松明に、その年の年男が点火をする。炎は音を立てて立ち上がり、思わずたじろぐほどの勢いで夜空を焦がした。

山形から遊びに来たという家族は、「スキーはできなかったけど、雪乞いに立ち会えて逆に忘れられない一日になりました!」と笑顔で話してくれた。

この一日を振り返ると、西村さんの一言からはじまった「雪女まつり」は、人と人、人と町との縁をつないでいることが見えてきた。祭りとは、祈りが重なって人を動かし、やがてその土地に根付いていくものなのかもしれない。

雪女まつりの5日後。

祈りが届いたのか、記録的な寒波が日本列島を覆った。「降りすぎちゃったら、今度は雪止めに行きますからね?!」と話す雪女さんたちの無邪気な顔が浮かんだ。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
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