
そのはじまりは、7年前に遡る。
記録的な暖冬に見舞われた2018年、猪苗代町・中ノ沢温泉街にある「小西食堂」の店主・西村和貴さんは、深刻な雪不足に悩まされていた。
安達太良山の麓に位置し、旅館や土産店が軒を連ねる昭和レトロな温泉街。近くには沼尻スキー場があり、冬になると国内外から訪れるスキー客を中心に、地域経済が回ってきた。
雪が降らないことは、この町にとって死活問題なのだ。
なんとかできないものかと考えた西村さんは、ひとりの男に冗談まじりでこう投げかけた。
「雪女さん、呼べませんかねえ?」
連絡を受けたのは、会津若松出身で「妖怪屋」を営む相田一成さんだ。西村さんとは同じ高校の出身で、数年前にSNSを通じて知り合った。西田さんのアイデアを聞き、相田さんが試しに X(旧Twitter)で雪女を募ってみると、全国から3人もの雪女が名乗りをあげたという。
こうして、2018年の大晦日。中ノ沢温泉で初めて豊雪を祈る儀式が行われた。
ちなみに、雪女とは雪女に扮した一般の参加者だ。それぞれが思い描く雪女の姿に化け、この祈りに加わった。その祈りが届いたのか、数日後、温泉街に雪が舞った。
この出来事をきっかけに、「雪女まつり」は毎年中ノ沢温泉で受け継がれてきた。2024年からは、新たに「リステル猪苗代」も会場に加わり、少しずつ広がりを見せている。