未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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食堂店主の一言から始まった妖怪たちの「雪乞い」 猪苗代「雪女まつり」がつなぐ人と町の物語

文= 奥村サヤ
写真= 奥村サヤ
未知の細道 No.297 |26 January 2026ver297
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#4雪深い中ノ沢温泉へ

相田さんに話を聞き、雪女が姿を現すまでにまだ時間があったので、私は雪女まつりの発端となった「小西食堂」へ行こうか、迷っていた。

ここで位置関係を説明すると、会場の「リステル猪苗代」は、磐越自動車道「猪苗代磐梯高原IC」を降りてほど近い場所にある。多少雪が降っていても、道路は除雪されており、たどり着きやすい。けれど、食堂がある「中ノ沢温泉」は、そこからさらに30分ほど山のほうへ進んだところにある。猪苗代町のなかでも、雪が一段と深くなるエリアだ。

同じ福島県でも「東北のハワイ」と呼ばれ、雪の降らない浜通りで育った私は雪道の運転が怖い。

いくら暖かいとはいえ12月の末だ。 念には念を入れ、小西食堂へ電話をかけて雪の状況を確認してみようと、スマホを取り出したそのとき。ひとりの男性に、声をかけられた。

ニカっと太陽みたいに笑う男性の正体は、小西食堂の西村さんだった。雪女まつりの会場に、地元の雪女たちを連れて来ていたところで、思いがけず会うことができた。

これから食堂へ行こうと思っていることを伝えると、「じゃあ、一緒に行きますか?」と神の一言。運転の心配がなくなった私は、意気揚々と車に乗り込んだ。

こうして、西村さんの話を聞きながら、中ノ沢温泉へ向かった。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
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