
相田さんに話を聞き、雪女が姿を現すまでにまだ時間があったので、私は雪女まつりの発端となった「小西食堂」へ行こうか、迷っていた。
ここで位置関係を説明すると、会場の「リステル猪苗代」は、磐越自動車道「猪苗代磐梯高原IC」を降りてほど近い場所にある。多少雪が降っていても、道路は除雪されており、たどり着きやすい。けれど、食堂がある「中ノ沢温泉」は、そこからさらに30分ほど山のほうへ進んだところにある。猪苗代町のなかでも、雪が一段と深くなるエリアだ。
同じ福島県でも「東北のハワイ」と呼ばれ、雪の降らない浜通りで育った私は雪道の運転が怖い。
いくら暖かいとはいえ12月の末だ。 念には念を入れ、小西食堂へ電話をかけて雪の状況を確認してみようと、スマホを取り出したそのとき。ひとりの男性に、声をかけられた。
ニカっと太陽みたいに笑う男性の正体は、小西食堂の西村さんだった。雪女まつりの会場に、地元の雪女たちを連れて来ていたところで、思いがけず会うことができた。
これから食堂へ行こうと思っていることを伝えると、「じゃあ、一緒に行きますか?」と神の一言。運転の心配がなくなった私は、意気揚々と車に乗り込んだ。
こうして、西村さんの話を聞きながら、中ノ沢温泉へ向かった。