未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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「鉱山電車」の記録と記憶をたどって 日立の見えない線路を歩く

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.298 |10 February 2026
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#46号国道踏切から市役所へ ―築堤―

6号国道に出た。ここが6号国道踏切跡だ。起点となる日立駅前からここまで約2キロの線路跡を歩いてきたことになる。渡ってさらに進むと、すぐに大きな工場の前に辿り着いた。地元の人たちからは「電線工場」と呼ばれている。電線工場の外周に沿って、線路跡はここで大きくカーブを描き、北上する。当時は工場内への引き込み線もあったという。

  • 電線工場
  • 道幅が広がり、駐車場になっているのも軌道の名残りだろう

そのまま進んでいくと、日立市役所のすぐ手前で、はっきりと鉄道の遺構と確認できる場所にたどり着いた。それが鉱山電車の築堤(堤防を築くこと、または築いた堤防のこと)跡である。距離は短いが、しっかりと鉄道の築堤だとわかる形状で、実際にここを鉱山電車が走っていったのかと思うと、なんだか感慨深い。

今もはっきりと残る築堤。まちなかで見られる数少ない遺構だ。

さらにここでは日立市の石灰石鉱山の産業遺構も確認できる。セメントなどの原料となる石灰石を日立駅近くまで運んでいたセメント工場のベルトコンベアの遺構である。数年前から使われなくなってしまったが、日立は銅以外にも、近年まで石灰石や硫化鉄鉱を産出しており、文字通り「鉱山」の街であったのだ。

  • 2010年代まで稼働していたベルトコンベア。
  • 日立市役所。日立駅舎と同じ、妹島和世さんの建築。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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