
「糖分が多いジャガイモに熱を加えたら溶けやすく、焦げやすくなるんです。高温で揚げたら糖分が溶けてネチェネチャになるし、すぐに焦げる。フライドポテトにまったく合わないんですよね」
料理人からキャリアを始めた上野さんは、自ら試行錯誤することで目の前の壁が想像以上に高く、分厚いことを実感。ひとりでこの難問の答えにたどり着くのは難しいと判断し、先輩後輩、友人知人の料理人に助言を求めた。
なにかアドバイスを得るたびに、試してみる。そして、失敗する。もちろん、自分のアイデアも加えてみる。また、失敗する。何度試してもうまくいかず、途方に暮れた。
「もうやめようと思ったことは、何度も何度もありました。ここまで手の込んだフライドポテトを作って、この先なにかあるのかなって、我に返ってね。素材を変えなきゃいけないのかもと思ったこともあります」
それでも投げ出さなかったのは、単なる意地。「一度やるって決めたら、やりきろう」という思いだけでキッチンに立ち続けた。そうこうしているうちに、意外なところから最初の突破口が開ける。
「皮を剥いてフライドポテト状にカットしたジャガイモをしっかり洗って、表面のでんぷんを落とします。その時、生野菜を水につけるとシャキッとするように、ジャガイモも繊維がシャキッと元気になるんですよ。その状態になって初めて溶けづらく、焦げづらくなることがわかりました」