
2023年4月15日、一の湯は5年の月日を経て、ついに復活オープンを遂げた。寄付をした人、掃除を手伝った人、試行錯誤した地元業者……復活に携わった誰もが「わたしたちの『一の湯』」という気持ちだったに違いない。
オープン時間は、火曜日から土曜日が17時から23時。日曜日は朝風呂を楽しめるように、7時から13時までだ。大人450円、小学生200円、幼児100円。
オープン当初の1日の客数は20人程度だった。オープン後も続けたYouTube配信のほか、「NHKおはよう日本」や「ガイアの夜明け」などのメディア出演により客足は増え、いまでは1日に平均30~40人が訪れ、5月の連休には70人ほどにのぼったという。ほとんどは地元の常連客だが、「必ず毎日一見さんも来る」というのもすごい。帰省したタイミングで立ち寄る「年に数回の常連さん」もいるのだそうだ。
営業の日は、14時半ごろから薪を焚き始め、同時に浴室と脱衣所をくまなく掃除する。定休日明けの火曜日は、釜の灰をかきだして水を入れ替えるため、朝9時半頃から準備して5時間ほど薪をくべる。まっさらな状態から風呂の湯を適温まで温めるためには、それくらいの時間がかかるのだ。
普通の薪ストーブとはちがって、釜は人ひとりすっぽり入ってしまいそうな大きさだ。1日に使う薪の量は平均するとトラック一台分で、地元の材木屋から調達している。長い薪を入れ続ける作業は、真夏は地獄かと思うくらい暑いというが、山本さんの笑顔はそれをものともしない。
「桐生にきてから、ものすごくたくましくなりました! 自分が大好きなことを全力でやれるいまが、一番楽しいの」
「建物がもつ限りは続けたい」と意気込む山本さんに、「銭湯の一番の魅力ってなんですか?」と聞くと、少し考えてから、こう返ってきた。
「平和、かな。『こんばんは』って入ってきて、知らない人同士でも話をして、帰りはいつもみんな『いいお湯だったよ、ありがとう』ってニコニコしてくれる。そういうのを見てると、平和だなあって思うし、心が豊かになるよね」