未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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時を超えてよみがえった114歳の女工銭湯 人が人を呼ぶまちの平和な社交場へようこそ

文= 座光寺るい
写真= 座光寺るい
未知の細道 No.308 |10 July 2026
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#7銭湯はド素人、でもいまが一番楽しい

2023年4月15日、一の湯は5年の月日を経て、ついに復活オープンを遂げた。寄付をした人、掃除を手伝った人、試行錯誤した地元業者……復活に携わった誰もが「わたしたちの『一の湯』」という気持ちだったに違いない。

オープン時間は、火曜日から土曜日が17時から23時。日曜日は朝風呂を楽しめるように、7時から13時までだ。大人450円、小学生200円、幼児100円。

オープン当初の1日の客数は20人程度だった。オープン後も続けたYouTube配信のほか、「NHKおはよう日本」や「ガイアの夜明け」などのメディア出演により客足は増え、いまでは1日に平均30~40人が訪れ、5月の連休には70人ほどにのぼったという。ほとんどは地元の常連客だが、「必ず毎日一見さんも来る」というのもすごい。帰省したタイミングで立ち寄る「年に数回の常連さん」もいるのだそうだ。

人ひとりすっぽり入ってしまいそうな大きさの薪窯

営業の日は、14時半ごろから薪を焚き始め、同時に浴室と脱衣所をくまなく掃除する。定休日明けの火曜日は、釜の灰をかきだして水を入れ替えるため、朝9時半頃から準備して5時間ほど薪をくべる。まっさらな状態から風呂の湯を適温まで温めるためには、それくらいの時間がかかるのだ。

普通の薪ストーブとはちがって、釜は人ひとりすっぽり入ってしまいそうな大きさだ。1日に使う薪の量は平均するとトラック一台分で、地元の材木屋から調達している。長い薪を入れ続ける作業は、真夏は地獄かと思うくらい暑いというが、山本さんの笑顔はそれをものともしない。

テンポよく薪をくべていく作業は、重労働だ

「桐生にきてから、ものすごくたくましくなりました! 自分が大好きなことを全力でやれるいまが、一番楽しいの」

「建物がもつ限りは続けたい」と意気込む山本さんに、「銭湯の一番の魅力ってなんですか?」と聞くと、少し考えてから、こう返ってきた。

「平和、かな。『こんばんは』って入ってきて、知らない人同士でも話をして、帰りはいつもみんな『いいお湯だったよ、ありがとう』ってニコニコしてくれる。そういうのを見てると、平和だなあって思うし、心が豊かになるよね」

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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