未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
309

新潟県糸魚川市

「石のまち」を掲げる新潟県糸魚川市は、ヒスイの日本一の産出地として知られる。さらに2026年2月には、「人類が最初に使い始めた宝石のひとつ」であるラピスラズリも発見された。一獲千金を狙って、いざヒスイ海岸へ!

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.309 |27 July 2026
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新潟県糸魚川市

最寄りのICから【E8】北陸自動車道「糸魚川IC」を下車

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#1糸魚川ヒスイドリーム

ヒスイハンターが集うヒスイ海岸。

6月のよく晴れた平日の午後、レンタカーを駆って新潟県糸魚川市のヒスイ海岸を訪ねると、見たことのない光景が広がっていた。

熱心にヒスイを探す人たち。

夏前のビーチといえば、海を眺めたり、波打ち際を散歩したり、砂浜に寝そべってリラックスしている様子が思い浮かぶ。でも、ヒスイ海岸には僕が想像するような楽しみ方をしている人は、ひとりもいなかった。座り込んで一心不乱に穴を掘る夫婦風の男女、先がスコップのような形状になっている棒で足元を突く高齢の女性、真剣な表情で俯きながら波打ち際を歩く若い男性は、時折、しゃがみこんで拾った石ころを凝視……。

「……みんな、ガチだ!」

その様子を見て、がぜんやる気が燃え上がった。僕も、遊びに来たわけじゃない。「宝探し」をするために来たのだ!

石ころだらけのヒスイ海岸。ここにお宝が埋もれている。

ヒスイ海岸の波打ち際は、一面石ころ。この石ころのなかに、お宝がある。その名の通り、この海岸には古代から日本をはじめ世界で愛でられてきた宝石、ヒスイがそこかしこに埋もれているのだ。そう、僕がヒスイ海岸で見た人たちはみんな、ヒスイハンター。

テレビ番組『なんでも鑑定団』で1997年に放送された回では、女子大生が糸魚川の海岸で拾ったヒスイにとんでもない鑑定結果が出た。その額なんと、400万円! これぞ、糸魚川ヒスイドリーム!

フォッサマグナミュージアムで展示されている糸魚川産ラピスラズリの解説。

もうひとつ、僕が見つけたかったのはラピスラズリ。日本では「瑠璃(るり)」と呼ばれる藍色の鉱物だ。詳しくは後述するけど、この宝石は、日本に産地があると考えられていなかった。ところが2026年2月、国立科学博物館が「日本産ラピスラズリ 糸魚川市内で発見」と発表したのだ。これは従来の鉱物史を覆すビッグニュースで、日本中の鉱物研究者や関係者がひっくり返るほど仰天したという。

僕が注目したのは、国立科学博物館が発見の報を伝えたプレスリリース。「糸魚川市の海岸では、かつてラピスラズリの小礫が採集されたことがありますが、海岸での石拾いイベントの際に外国産のものが撒かれたものではないかとされ、詳しい研究はされませんでした」「(ラピスラズリに色が似ている)デュモルティ石と思って青い石を所有している人の標本には、ラピスラズリも紛れているのではないか」と書かれているのだ。

これは……ヒスイ海岸でラピスラズリに出会う可能性もあるのでは!? ラピスラズリはヒスイよりも希少だから、より高値に違いない。ヒスイかラピスラズリ、もしくはその両方をゲットしたい。脳内が¥マークになった僕は、目を見開いて海岸を歩いた――。

  • 光り輝く白いヒスイ。
  • 日本中の鉱物研究者や関係者を仰天させた糸魚川産ラピスラズリ。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。