未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
311

1300年の霊場・能登の不動滝で滝行体験 「邪念、落ちましたか?」

文= きえフェルナンデス
写真= きえフェルナンデス
未知の細道 No.311 |25 August 2026
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#4炎が描いた、龍の予兆

列をなして滝に向かう僧侶と関係者。

話を戻そう。法要は、まさに目の前で動き出していた。

ほら貝が鳴り響く。副住職を先頭にした僧が列をなし、錫杖(しゃくじょう)を振りながら、滝に向かっていく。

私はその迫力に圧倒されていた。地元の新聞記者に紛れ、必死に写真を撮る。茶をすすって眺めていようなどと思っていた自分の愚かさを戒めたくなった。

  • 能登地区の真言宗寺院の僧侶たちが集まり、1年間の滝の安全を祈願する。
  • 滝に供物を納めるなか、背後で僧侶たちが読経する姿は圧巻。

滝壺では、塩が撒かれ、酒やきゅうり、大根、昆布といった供物が滝に向かって放り込まれる。僧侶たちの読経が滝音と重なる。

錫杖を手に安全祈願を行う、中能登町にある鷹王山長楽寺の住職。

「のうまくさんまんだ、ばあざらだんかん。のうまくさんまんだ――」

真言を唱えながら滝行をする参加者。

不動明王の印を結びご真言を唱えながら、参加者は次々と滝に身を委ねていた。水しぶきを浴びながら私は、なぜ自分も参加しなかったのだろう、とだんだん思えてきた。

参加者たちは、こぞって「軽くなったー」「すっきりしたー」などと言っている。

滝行が行われた後は、柴燈護摩法要が行われ、参拝者が願い事を書いた護摩木が炎の中へ投げこまれていく。火の登り方が龍に見えると、その年は良い年になると言われているそうで、私は必死にその行方を見守った。

  • 天に昇る龍のような……。
  • ふたつに分かれた炎、右側が口を開けた龍に見える……。

どうでしょう。龍に見えませんか?

天平太鼓を鳴らす福多さんと高柳さん。

締めくくりには、国史跡・石動山に伝わる郷土芸能「天平太鼓」が奉納された。かつて雨乞いの儀式として打たれていたもので、この日は6人の奏者が力いっぱい打ち鳴らす。そのなかには、先ほどの福多さんと高柳さんの姿もあった。腹に響く音というのは、耳よりも先に、内臓のどこかに直接届くものらしい。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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