未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
311

1300年の霊場・能登の不動滝で滝行体験 「邪念、落ちましたか?」

文= きえフェルナンデス
写真= きえフェルナンデス
未知の細道 No.311 |25 August 2026
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#2泰澄大師が滝に見た、1300年前の啓示

不動滝の脇に祀られた不動明王。

不動滝は、日本の三霊山である白山を開いたことで知られる泰澄大師(たいちょうだいし)が、奈良時代の天平宝字7年(763年)に開いたと伝えられている。熊野の大神のお告げを受けた大師が、この地に清らかな滝を見出し、不動明王を安置したのが始まりだという。

不動滝のそばに建つ不動堂。昭和38年の「三八(さんぱち)豪雪」で一度倒壊したが、再建されて今に至る。

この滝を1300年に渡って守り続けてきたのが、滝の麓にある真言宗・圓光寺(えんこうじ)だ。

長谷契俊 (はせけいしゅん)住職(83)はこう語る。

圓光寺の長谷契俊住職。

「圓光寺の歴史は、 この滝と同じ1300年前。 泰澄大師の開基や。その間には、栄枯盛衰で沈んでおる時もあったし、もっと栄えておった時もあったわけや」

長谷住職は、中興39代目にあたる。現在は体調を考慮し、法要などは、息子であり副住職の長谷晋良(しんりょう)さんに任せている。

銅鑼の音とともに法要が始まる。鳴らすのは圓光寺の副住職。

かつてこの石動山一帯は、修験道の一大拠点として栄えており、最盛期には3000人にもなる修行僧が暮らしていたという。彼らは山道を伝って不動滝まで下り、荒々しい滝に打たれて修行を積んだと伝えられている。当時の石動山はさぞかし賑やかだったろう。今は静かな山だが、長谷住職は今も毎月28日の不動明王の縁日には、必ず滝を訪れるという。

「俺が生まれたがも28日や。お不動さんと同じ日。何か運命やと思って、お守りさせてもらっとる」

1300年続く信仰と、住職との縁。私は思わず居住まいを正した。

ちなみに私が訪れた2026年は、不動滝に隣接する奥ノ院の不動堂に安置された秘仏が、33年に1度だけ開帳される、まさにその年にあたるという。長谷住職はこれまでに3度、その扉が開くのを見届けてきたそうだ。住職にとってこの不動滝というのは「特別な存在」なのだという。

1300年、信仰だけを頼りに守られてきたのかと思いきや、この滝にはもうひとつの顔が隠されていた。

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