
不動滝は、日本の三霊山である白山を開いたことで知られる泰澄大師(たいちょうだいし)が、奈良時代の天平宝字7年(763年)に開いたと伝えられている。熊野の大神のお告げを受けた大師が、この地に清らかな滝を見出し、不動明王を安置したのが始まりだという。
この滝を1300年に渡って守り続けてきたのが、滝の麓にある真言宗・圓光寺(えんこうじ)だ。
長谷契俊 (はせけいしゅん)住職(83)はこう語る。
「圓光寺の歴史は、 この滝と同じ1300年前。 泰澄大師の開基や。その間には、栄枯盛衰で沈んでおる時もあったし、もっと栄えておった時もあったわけや」
長谷住職は、中興39代目にあたる。現在は体調を考慮し、法要などは、息子であり副住職の長谷晋良(しんりょう)さんに任せている。
かつてこの石動山一帯は、修験道の一大拠点として栄えており、最盛期には3000人にもなる修行僧が暮らしていたという。彼らは山道を伝って不動滝まで下り、荒々しい滝に打たれて修行を積んだと伝えられている。当時の石動山はさぞかし賑やかだったろう。今は静かな山だが、長谷住職は今も毎月28日の不動明王の縁日には、必ず滝を訪れるという。
「俺が生まれたがも28日や。お不動さんと同じ日。何か運命やと思って、お守りさせてもらっとる」
1300年続く信仰と、住職との縁。私は思わず居住まいを正した。
ちなみに私が訪れた2026年は、不動滝に隣接する奥ノ院の不動堂に安置された秘仏が、33年に1度だけ開帳される、まさにその年にあたるという。長谷住職はこれまでに3度、その扉が開くのを見届けてきたそうだ。住職にとってこの不動滝というのは「特別な存在」なのだという。
1300年、信仰だけを頼りに守られてきたのかと思いきや、この滝にはもうひとつの顔が隠されていた。