未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
158

“悩み”や“迷惑”も持ち寄ろう! 「いつだれキッチン」は今日もゆるやかに大繁盛!

文= 川内有緒
写真= 川内有緒
未知の細道 No.158 |25 March 2020
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#4たったひとりのために

さかのぼること4年前のある日のこと。
猪狩さんが働くいわき市の「包括支援センター」(高齢者が様々な相談できる窓口)にひとつの相談が持ち込まれた。それは、ある問題行為を繰り返してしまう人が地域にいるというものだった。
「その人は、当時70歳。カテゴリー的には“高齢者”になります。その人に市が何か支援をしようと思うと、利用できる制度としては介護サービスになるんだけど、その人は少なくとも体はピンピンしていて、お風呂に入れないとか、認知症を患っているなどの問題もなく、介護サービスに入れるような余地がまるでなかったんです」
突き詰めて考えていくと、そのひとの問題の根源にあるのは、問題行動のもっともっと手前にある別の生きづらさだということに行きついた。そうなると、必要なのは、介護でも障害者ケアでもなく、行政が立入る余地はほとんどなかった。このとき猪狩さんは「制度と制度の谷間にいる人に働きかけることの難しさを実感した」と語る。

なにはともあれ、地域で福祉に関わる人々が集まり、その人の支援を巡って話し合うことになった。その時に集まったのが、まさに現在「いつだれ」のメインメンバーである、とし江さん、猪狩さん、そしていわき市地域包括支援センターの職員の吉田郁子さん。
色々と話し合う中で、とし江さんは言った。
「みんなで料理して、一緒に食べれば、その人も行き場や話し相手ができて、行動も変わるんじゃないかしら。本人を変えるんじゃなくて、周りの環境を変えるのよ」

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。