
この話を聞いた時、同じとうきびワゴンが100台も並んでいて、そんなに売れるの? と疑問に思ったのだけど、めちゃくちゃ売れていた。とうきびワゴンの販売期間は、だいたい4月から10月いっぱい。1973年には、その半年間で年間約93万本も販売したという記録が残っているのだ。すごい!
しかし、さすがにこのブームも長くは続かなかった。それからググっと時が流れ、2010年前後には「一代権利」によってワゴンの数も減り続け、売り上げも落ちて赤字になっていたようだ。当時の報道によると、2010年の売り上げは過去最低の約13万7000本。2011年6月8日、札幌市長が記者会見で「とうきびワゴンでありますが、これは、赤字だと、何度か、何年か前に廃止しようかというふうなお話もあったりして、過年の課題」とコメントしている(「平成23年度第3回定例市長記者会見記録」参照)。
廃止を免れたのは、100年以上も続く大通公園でのとうきび販売が、「札幌名物」「札幌の風物詩」と呼ばれてきたからだ。
2011年12月、札幌観光協会はとうきび販売事業を民間委託するため、企画コンペを開催。コンペで採用された北海道キヨスクは、2012年4月から6年間、とうきびワゴンの運営を担った。それでも厳しい状況から脱することができず、2019年、札幌市公園緑化協会に運営をバトンタッチする。その後、入札を経てとうきび販売の実務を任されたのが、先ほど登場した山賀畜産の山賀健一さんだ。
普段は西3丁目と4丁目にワゴンを常設し、イベントの時だけ4台出店する。この台数で勝算があったという山賀さん。それにしても、なぜ社名に畜産?