販売本数1日最大3000本！？なぜそんなに人気なの？ 札幌名物「とうきびワゴン」の謎に迫る！

札幌市が公開している「歴史の散歩道　第1章風物詩編」には、こう記されている。

「明治の中ごろ、平岸村の農家がトウキビを焼いて街角で売り歩いたのが、始まりと言われています。その後、市内各地に広がって札幌の名物となり、石川啄木が短歌の題材にするほどになりました」。

なんと、とうきびワゴンのルーツは明治時代にあるのだ。ちなみに、大通公園の前身となる「後志通」ができたのは、1871（明治4）年。札幌中心部の北側にある官庁街と、南側にある住宅・商業街を分ける火防線（火災の類焼を防ぐスペース）として作られた。

後志通では1878年に第一回農業仮博覧会が開催されたのを皮切りに、早い時期から大規模なイベントが開かれていたようだ。後志通は1881年、大通に改称。そして、東京府の公園係長などを務めた造園の権威、長岡安平の手によって大通が現在の大通公園の原型として整備されたのが、1909年（明治42年）から1911年（明治44年）にかけて。

大通公園のホームページの「大通公園の歴史と植物」には「大通は火防線として設定されたことは間違いなく、当然樹木も伐採されて空き地にされてしまったようです」と記されている。ということは、1907年に石川啄木が訪れた際も、まだ公園というより空き地に近い場所だったと考えられる。すでにそこで、とうきびが売られていたのだ。

ちなみに、第二次世界大戦中は食糧不足解消のため、公園はイモなどを栽培する菜園になった。占領軍によって接収された終戦後は、「（大通）3丁目に教会、4丁目に野球場、5丁目にテニスコートが造られ、それより西は荒れた状態で、ごみ捨て場と化していた」（札幌市ホームページ「大通公園、100歳」参照）。菜園が野球場やテニスコートに変わり、西側はごみ捨て場！？　大通公園にも、いまの姿からはまったく想像がつかない歴史がある。