未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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販売本数1日最大3000本!?なぜそんなに人気なの? 札幌名物「とうきびワゴン」の謎に迫る!

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.285 |25 July 2025
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#7札幌の市民の証言

これだけ手を打っても、すぐに効果が出たわけではない。意外なことに、追い風になったのは販売を始めて2年目、2020年に起きた新型コロナウイルスの流行だった。

コロナで遠出ができなくなり、いわゆる「三密」も避けなければいけない……となった時に、一部の札幌市民は大通公園に足を向けた。飲食店の多くも時短営業しているか、閉店している時期に、営業中のとうきびワゴン。

それまで「なんでとうきびに300円も……」「観光客が食べるものでしょ……」と思っていた札幌市民が、恐らく最初は特に期待せず、とうきびを購入した。

人は期待値と実感の差に、心動かされる。その味は、想像を超えていたのだろう。口コミで評判が広がり、観光客がまったくいないコロナ禍に、札幌市民のお客さんがどんどん増えていった。そのうち、自宅で楽しむために買いだめをしたり、お土産用にひとりで10本、20本買っていく人も出てきた。

取材の日も、ひとりで4本購入した女性がいた。(撮影:サオリス・ユーフラテス)

取材の日、偶然にもこの話を裏付けるふたりに出会った。山賀さんが運営するカフェテラスのイスに座り、とうきびを食べていた男女に声をかけると、40年以上札幌に住んでいて、初めてとうきびワゴンに来たという。

「僕らは地元のスーパーでとうきび買って自分で茹でて食べるから、こんな高いお金を出してまで、と思ってたんです。でも食べてみたら、とんでもなくうまい! 観光客がこんだけ食べるのもわかるわ」

「キャンプに行く時、とうきび買っていくんですけど、この味は出せないね。おなかいっぱいなのに食べちゃう」(女性)

「今回一回食べてみたけど、これはたまにいいね、大通公園に来たらまた食べよっかって話してたところ。地元民でまだ食べてない人は、一回食べたほうがいい(笑)」

想像するに、札幌中で同じような会話がされていたに違いない。コロナが落ち着いた2022年6月に開催された「YOSAKOIソーラン祭り」では、札幌市民に加えて観光客も押し寄せ、1本300円のとうきびが1日で約3000本売れた。

ワゴンに貼られている、手を汚さずきれいにとうきびを食べる方法。
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「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
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