未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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販売本数1日最大3000本!?なぜそんなに人気なの? 札幌名物「とうきびワゴン」の謎に迫る!

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.285 |25 July 2025
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#8コラボで知名度アップ

この人気に拍車をかけたのが、同年8月からスタートしたローソンと、北海道長沼町にのアイスクリームの名店、長沼あいすとのコラボ。どちらも「大通公園とうきびワゴン監修」と銘打ち、ローソンではとうきびおにぎり、とうきびバター、長沼あいすからは「さっぽろ大通公園とうきびモナカ」が発売された。さらに10月には、ローソンがとうきびと鮭おにぎり、コーンスープを発売。このコラボで、札幌市民と観光客、どちらの間でもさらに知名度が高まったとのは間違いない。

2023年には、物価高の影響で前年から100円値上げして400円にしたにもかかわらず、ときには1時間待ちの行列ができるように。その結果、4月にオープンしておよそ2カ月しか経っていない6月10日、前年から冷凍保存していた4万本の在庫が完売し、休業を余儀なくされた。それから10日後にはビニールハウスで栽培されたとうきびを仕入れて再開したものの、「たくさん怒られました」。

2024年には物価上昇と完売対策でさらに100円値上げしたものの、前年より売り上げは伸びて、半年間で約13万本を売っている。

おいしそうに見える焦げ目をつけるために、焼き台を特注している。(撮影:サオリス・ユーフラテス)

ちなみに、北海道のとうきびの旬は8月で、お盆あたりに採れた露地栽培の生とうきびが一番甘いそうだ。山賀さんは旬の時期に採れたとうきびを購入し、冷凍保存している。

翌年4月にとうきびワゴンを再開させた時にはその冷凍とうきびを売り、それがなくなるとハウス栽培の生とうきびに切り替え、7月下旬から8月下旬までは露地栽培の生とうきびを売る。旬が過ぎて露地栽培の仕入れが終わったら、冷凍のとうきびに戻る。

今年(2025年)は例年を上回るペースで売れており、ちょうど取材の日、前年から冷凍していた6万5000本のとうきびがなくなった。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
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