未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
297

福島県耶麻郡

福島県猪苗代町には日本各地から集まった雪女たちが、豊雪を願う祭りがある。その名も「雪女まつり」。一体、どんな祭りなのか。背筋が凍るような光景を想像して訪れてみると、雪を願う夜は思っていたよりもずっと温かかった。

文= 奥村サヤ
写真= 奥村サヤ
未知の細道 No.297 |26 January 2026
  • 名人
  • 伝説
  • 挑戦者
  • 穴場
福島県耶麻郡

最寄りのICから【E49】磐越自動車道「猪苗代磐梯高原IC」を下車

【E49】磐越自動車道「猪苗代磐梯高原IC」までを検索

最寄りのICから【E49】磐越自動車道「猪苗代磐梯高原IC」を下車

【E49】磐越自動車道「猪苗代磐梯高原IC」までを検索

#1「雪乞い」をする雪女まつり

ゴォォォ~~~~~~~~!!!!

激しい炎が夜空へと舞い上がる。

キンと冷えた空気に火の粉がはじけ、ぱちぱちと音を立てながら、吸い込まれるように夜空へ消えていった。

クリスマスを間近に控えた12月21日、私は「雪女まつり」に来ていた。

炎を囲むように円になった雪女たちが、鳴り響く太鼓と雪への祈りを込めた雪歌に合わせて空をあおぐ。見物客のなかには子どもも多いが、誰ひとり声を出す者はいない。雪女たちの一挙手一投足を、みな固唾をのんで見守っていた。

雪女まつりは、日本各地から集まった雪女たちが豊雪を祈願する祭りだ。

会場は、福島県猪苗代町にあるスキー場「リステル猪苗代」。本来ならスキー場のオープン日。雪を待ちわびたスキー客でにぎわい、シーズンはじまりの高揚感に包まれる日になる……はずだった。

けれど、会場に雪はない。

この日は、日本列島の広い範囲で記録的な高温を観測。普段なら0℃を下回るこの時期に、昼間の最高気温は14.6℃!雪国へ行くために気合いを入れて何枚も重ね着をしてきた私は、汗だくで何度も「半袖になりたい……」と思ったほどだ。

年々、暖冬傾向が強まっている。雪が降らなければ、スキー場には人が来ない。冬の観光に関わる人たちにとって「雪よ、降ってくれ」という願いは切実なのだ。

人々は遥か昔から、願いを祈りというかたちで神仏や自然に捧げてきた。雪女まつりもまた、どうしても雪を降らせたいひとりの男の願いから始まったという。

このエントリーをはてなブックマークに追加

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。