未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
ver307

長野県上高井郡

2019年の10月、台風19号で壊滅的な被害を受けた長野県のりんごの産地に、手ぶらでピクニックができる農園がある。園内のカフェには「りんごジュースが出る蛇口」もあるという。運営するのは、120年前から続く農園の4代目。一体なぜ、被災した地域でピクニックなのだろう。何よりも「手ぶらでいい」に心惹かれた私は、子どもたちと農園に向かった。

文= 座光寺るい
写真= 座光寺るい
未知の細道 No.307 |25 June 2026
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長野県上高井郡

最寄りのICから【E18】上信越自動車道「小布施PA(スマートIC)」を下車

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#1手ぶらは正義!

その日、私は自宅から車で10分ほどの場所で、子どもたちと山道を登っていた。といっても、頂上まで20分ほど。自然を楽しむのは大好きだけれど、あれこれ準備をするのはちょっとめんどくさい。なにも持たずにいけるこれくらいの「登山」が、今は丁度良い。

お手軽なトレッキングを終えてお昼に蕎麦屋に入ったところで、スマホに通知がきていることに気がついた。見ると、編集長から送られてきた「手ぶらで農園ピクニックができるカフェ」の情報だった。レジャーシートも、水筒もいらない。

うわ、最高じゃん。 おっと、心の声が漏れてしまった。とりあえず運ばれてきた蕎麦をすすろう。

手ぶらでいいのは、ありがたいが過ぎる。しかも、なにやらカフェには面白い仕掛けもあるという。ふむふむ、場所は、自宅から車で1時間ほど。よし。蕎麦を食べ終える頃には、私の心は決まっていた。

翌週、さっそく長野市に住む姉と甥っ子を誘って、ピクニックの予約をした。

向かったのは、長野県上高井郡小布施町にある「ガーデン&カフェ ピクニック」だ。カフェにつながる国道18号線は、りんごの直売所が多く立ち並ぶことから、「アップルライン」と呼ばれているらしい。

りんごの直売所が数多く立ち並ぶアップルライン

小布施スマートインターが最寄りだけれど、せっかくなのでアップルラインを通ってみたい。少し手前の須坂長野東インターでおりて車を走らせると、見えてきた、見えてきた、りんご畑。花の季節は過ぎてしまっていたものの、青々とした葉をつけたりんごの木からは勢いを感じる。そして確かに、「りんご直売」の看板がそこここに見えた。

間もなく、目的地に到着。カントリー調のかわいらしい建物に、「garden & cafe pique nique」と書かれている。建物の横には、「りんご狩 入口」の看板と階段が設置されていて、そこから一段下がった場所にひろがる農園に入場できるようになっていた。

車からおりてみると、5月だというのに真夏のような暑さだ。カフェのガレージには、1匹の猫がくた~っと横たわっており、退屈そうにあくびをひとつ。

のんびり気ままな猫の「うめ」は、この農園でずっと可愛がられてきた

猫に気をとられていると、スラリとした背の高い男性が「こんにちは!」と爽やかに声をかけてくれた。この人物こそ、カフェを運営するフルプロ農園の代表、徳永虎千代さん(34)である。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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