
ところで、なぜ、うみがたりには100羽以上もマゼランペンギンがいるのか? 展示エリアに回答が記されていたので、要約する。
まだ現在の建物が新設される前の1993年、上越市立水族博物館の時代に「たくさんのペンギンが暮らす施設を作って、子どもたちに喜んでもらおう」とペンギンランドが整備された。その際、もともと飼育されていた3羽に加えて、生息地のチリやほかの水族館から54羽を集め、計57羽になった。初年度から3羽のヒナが孵化すると、その後は毎年のようにヒナが孵るようになり、2003年には飼育数が100羽を超えたそう。
うみがたりが繁殖に成功した要因として、以下の3つが挙げられていた。
①マゼランペンギンは、コロニー(群れ)を作って暮らす。57羽を集めたことで、野生と比べて規模は小さいながらも自然に近いコロニーができた。
②上越市から見て、地球の裏側に位置するのがマゼランペンギンの生息地パタゴニア。真冬を除けば平均気温が上越市と近く、暮らしやすい気候だった。
③ペンギンの健康を守る飼育スタッフの情熱。
ちなみに、「上越市立水族博物館 うみがたり」として新しくオープンしたのは、2018年6月。その際、擬岩などの人工物を配置してプンタ・トンボの自然を再現し、より故郷に近い環境で暮らせるようになった。2019年には、日本で初めてアルゼンチンのチュブ州政府よりマゼランペンギンの生息域外重要繁殖地として指定を受けている。
①から③のなかで、僕が最も重要だと感じたのは③。それは、今回の取材で田中さんをはじめとする飼育スタッフの「情熱」を知ったからだ。
「ペンギンが病気に罹らないよう、予防に力を入れています。ポイントは、些細な変化を見逃さないこと。お気に入りの場所があるはずなのに今日はそこにいないとか、いつもと少し違う泳ぎ方をしているとか、いつも飼育スタッフ同士で情報を共有しています。これだけの数だと群管理になりやすいんですけど、できるだけ個体管理したいと思っています」