
ペンギン好きの田中さんから聞くペンギンの生態は、思いのほか面白かった。擬岩で作られた巣を利用するのは繁殖の適齢期に当たる4、5歳以上のペアで、子どもの頃は基本的に屋外生活。巣は交尾と子育てに必要で、例年、3月頃に巣を配置するとペアで入居する。
「帰巣本能が強いので、毎年だいたい同じ家に入ります。 繁殖に参加できる年齢になって新しくペアを形成したペンギンも家が必要なので、昔から住んでるペアと家を奪い合って喧嘩することもあります。なかには、オスが頑張ってひとりで家をゲットして、そこで自分をアピールしてメスを呼び入れるというパターンもあるんですよ。メスを呼ぶオス独特の鳴き方があって、夕方によく聞きます」
ペンギンってなんだかピースフルなイメージがあったから、それぞれの巣でみんなのんびり暮らしているのかと思ったら、意外なことに家の奪い合い! それにしても、ひとり奮闘して家を手に入れ、パートナーを求めて夕方に鳴くシングルのオス……。なんだか切なく感じるのは僕だけでしょうか!?
ネットで調べると、「マゼランペンギンのペアは生涯添い遂げる」という情報が出てくる。この美談にも、例外があるという。
「基本的には添い遂げるんですけど、寿命や病気で相手が亡くなったりとか、高齢になって繁殖できなくなったりすると、ペアが新しく組み変わることもあって、私たちもすごく驚きます。例えば、昔から狙っていたメスがいて、相手のオスが亡くなったり、治療で療養に入ったりして姿が見えなくなると、今がチャンス! という感じです。実際、今年はそういうペアがいくつかあって、私たちも休憩室で『あの子、ペアが変わったよ』みたいな話をしています」
確かに「人間味」を感じるエピソード!(笑) 最初に気づいた飼育スタッフは、家政婦は見た! 的に、飼育スタッフは見た! という感じか。